雲珠桜は夏に彩る 埋れていた、事実15 「へ!?」 「………」 「な、何!?」 ガッシ、ガッシ、ガッシ。そんな音が出るほど強く私の頭を掻きまわすベル。その強さが強すぎて、つい苦情を洩らしても聞く耳を持たない。挙句の果てには私のほっぺたをつねりだすものだから、手がつけられない。だけどさすがにその強さをずっと我慢する事も出来ず、抵抗し続けていると………ベルから怒鳴り声に近い叱咤が飛んできた。 「あのさぁ、お前何やってんの?バッカじゃねえの!?」 「は……!?」 何故私がこんなに怒られるのだ。ユカは訳が分からなくて困惑した顔を彼に見せた。するとベルは私に見せつけるように大きくため息をついた。 「あのなぁ………俺らはお前とユニって奴を 助けるためにこっちに来たんだぜ?なのにお前から進んで白蘭の奴に捕まりに行ってどうすんだよ、お前ばっかだろ!!」 「!!ご、ごめ…」 ………初めて、ベルの本気で怒ってる姿を見た。ベルは思ったより静かに、でも激しく私の事をなじった。それは当然のことだ。そんな事を私はしたのだから。考えなしの行動をしたのは私なのだから。 皆はきっと、止めてたのに。その声を聞かずに駆けだして行ったのは私だ。何でさっき困惑した。考えれば分かることなのに。 「ごめんなさい………ほんとに、ありがとう、ベル」 「………次はないかんな」 「うん……。所でヴァリア―の皆は?ベルが抜けてきても大丈夫だったの?」 そう謝ればベルは何故か無表情になる。まだ怒っているのかと思ったが、様子は平常時と変わらない。 「あいつら?今頃ヘタレん所にでもいんじゃね?………つーか戦闘中?」 「まさか獄寺のとこ!?じゃあ私はもう良いから行かないと!!」 「だーめ。それよりこっちの方が先だっつーの、バーカ」 「!?ちょ………ぎゃあぁ!?」 「しししっ」 ベルが接近してきたかと思うと、お腹の周りに感じる異変。グエッと小さく声を出した次の瞬間には、私は色気もトキメキもクソもない、俵担ぎなる物をされていた。 その先ではベルの匣兵器のミンクとコンニチワ。何故か頭に乗られて居座られた。首が痛い。ご主人様に似て横柄な態度な事だ。 「何!?」 「口閉じとけよ。舌咬むから」 「!?(何だこのデジャヴ!!)」 …………何故かそのまま森に突入しちゃいましたとさ。まる。 [*前へ][次へ#] |