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雲珠桜は夏に彩る
埋れていた、事実01








そこから私はリボーンに、漫画のことを端的に要所要所を押さえて話した。

ツナが主人公。

話のプロット。

それが漫画で会って、私も読んでた事。

そして…………それにはこの未来編も載っていたと言う事。

今になって対した事ではないけれど、ちょっとだけこの世界に漫画っていうのがあってよかったな、とふと思った。変に漫画が無い世界とかだったら、そこから説明するのは大変だっただろうから。





「私じゃ皆に話していいか判断付かなくて…………でも、リボーンなら正しい判断してくれそうだったから」





とにかく、ずっと言わなくてごめん。私はリボーンに頭を深く下げた。いくら角度を深くしたからって意味はないと分かっているけれど、それでも下げた。リボーンはそんな私に攻めるような言葉も態度も見せず、ただ次の言葉をつないだ。





「…………それはこの戦いの結末も分かるって事か」


「うん…………だから、この事を皆に話していいかどうかも分からない」





漫画の中ではちゃんと決められた物語がある。それは既に…………きっと紙面にインクが乗った時から決まっていて、乗ってしまったら最後、それがどうあがこうと変わる事はない。当たり前だ。それ漫画なのだから。
そして私達は決められた物語をいつも手にしていて、だから安心してその話を読む事が出来る。大抵は読者の望む方向に進んで行っているから。どんなに辛いことがあっても大抵何処かで救われる。
冒険物だって、最終的には目的を達成する。勇者はラスボスを倒す。恋愛物は………最終的には結婚だろうか?どんな人たちでも幸せな未来を築いていく。あまりにも決まっているものだからセオリーとか、フラグとかそんな言葉もあるんだと思う。

…………だけど、この世界はどうか。

私が今立っているこの世界は今、少なくとも私にとっては決められた世界ではない。今一秒一秒時がちゃんと刻まれていて、ちょっとした事からでもどんどん道を外して行くのかもしれない。この世界には確かにifの世界が思いついた分だけ存在するのは分かっている。

………そして今、その外していく力を私が持っているようで気が気でなかった。





「だって…………私はもともと、ここにはいないんだもん」





この物語にだって、参加できないと思っていた。…………こちら、未来に来るまでは。
最初は正直悲しいとも安堵したとも言えた。だけど今となっては怖い。自分の存在がこの出来事にどう左右されていくのか。物語の大筋から今の時点ではあまり離れていないと言っても、私が居ることでいくつか原作にない事が既に出てきている。





「仮にも…………もし、私が皆に未来の事を離して、それで私の知らない話になって言ったら…………って考えて………」





この世界の結末が変わっていったりしたら…………それは凄く、怖い…!

ユカの声は小さく、今にも消え入りそうだった。世界を変えてしまうかもしれないと言う大きな重荷に、重圧に、ただただ自分の中の恐怖を吐き出す。その行為の先はきっと、リボーンには向いていないんだろう。ただ怖くて。そんな位置にいる自分が怖くて。壊れてしまいそうな自分を、まるでその原因である恐怖を弱音として吐き出すことで自分を保つかの様に。………そんな理由で彼を呼び出したわけではないのに。

だが、リボーンはそんなユカを見て、目の前のユカの様子が嘘の様ににっこりと笑った。





「ユカ…………お前、成長したな」


「………え…?」


「お前は他人に「頼る事」を覚えたんだ。お前にとって、それはでけーぞ」





リボーンはボルサリーノをくいっと上げた。するとそこに現れるのは満面の笑みを浮かべたリボーン。ユカは顔を上げるとそんな表情が一番に入ってきて、唖然とした。






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