雲珠桜は夏に彩る Cielo 私がイタリアから帰ってきてもうすぐ二週間近く。つまり、リボーン達がいなくなってからもうすぐ二週間。 事件はなんにも進展のないまま、それだけの月日が経とうとしている。 そんな中。 並盛中の小さなグラウンドの端で、女子の闘志に満ち溢れる声が鳴り響いて。 「ラストぉ!」 「「「「「こぉい!!!」」」」」 パコンッ………… パコンッ………… パコンッ………… ボールの心地いい音がした。 「よし、今日はそれまで!」 「「「「ありがとうございました!」」」」 「そしてビックニュース!今日はうちの親からシュークリームの差し入れがあります!」 「「「「「キャー!!シュークリーム!?」」」」」 挨拶の返事より張り上げた、黄色い声。この場のテンションについていかなければきっと、鼓膜が破れることだろう。 ユカはそう思いながら大きなシュークリームをありがたく受け取った。 リングの事件があって数日。私はあれから何事もなく、日常を過ごした。 雲雀さんがもうリングに触るのは禁止、とか言ったけど、私としては触らなくて困ることは何もないし、そもそも今まで触る機会もなかったので怪我をすると分かって触る様なことはしない。怪我したのも右手だったので左利きの私は対して支障も出ることもなく、こうやってテニスもすることができている。 私は大きく一口、シュークリームを咀嚼した。 大分昔の勘が戻りつつある中で、私は結構負けなしとなってた。それはもう不思議なくらいに。 「これならきっと明日の試合も大丈夫ね!」 「うん!」 また、一口口にシュークリームを運ぶ。程よく冷えててクリームはほんのり甘い。疲れた体に染み渡る美味しさだった。 うお、クリーム出てきやがった。 「あ、そういえば ユカ。まだ、ユニホーム渡してなかったよね?」 「あ、うん」 シュークリームのクリームと格闘してると、眼鏡ちゃんもとい綾が、私の所に楽しそうに駆けてくる。周りのぐったりした風景のなかでそれを見ると、思わず突っ込みを入れてしまいそうだ。 「じゃあはい、これ。明日着てきてね?」 カサカサと包みを渡される。 袋の中にあったので、どんなものかよくわからないが………なんだかこのテニス部の本当の一員になれたような気がして嬉しかった。 「うん。開けていい?」 「いいよ」 その言葉を聞き終えると同時に…………開けて、目を見開いた。 …………これは。 「あの……私、ズボンでいいんだけど……」 「何言ってんの。それは男子だけでしょ?」 カサカサっと服を広げる。 私の手の上には、所謂かっこかわいいと言われるデザインのユニホームと、丈がこれでもかと言う程短い…………スコートだった。 [*前へ][次へ#] |