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雲珠桜は夏に彩る
危機の中の出会い14







何故リボーンはここまで弥風を拒絶するのだろう?ユカにはいくら考えても分からない事だった。
リボーンにも何か考えがあるのかもしれないけれど、今、この状況でそうしなければいけない理由なんて私なんかには思いつかない。だけど唯一両者の目を見れば、どちらも譲る気が無い事が分かった。

蚊帳の外状態に陥っていたツナが、張り詰めた空気を打ち破るかのように言葉を発した。





「り、リボーン…………何もそこまで言わなくても良いだろ?弥風さんは今までいろいろ助けてくれたし、頼りにも」


「関係ない奴を巻き込みたくないっていう、お前のいつもの意見はどうしたんだ」


「だ、だって本人がこんなにも残りたがっているんだし!」


「ありがとう、ツナ君」


「弥風さん…………」





弥風は私の事を力一杯抱きしめながらその会話のゆく末を見守っていた。時々何か言いたげに口を開閉させていたが…………だが、何か思う事があったのであろうか?急にその温もりが自分から離れていく。
それがなんだか惜しい気がして思わず手を伸ばしかけるが、私ははっとその伸ばしかけた手を止めた。
弥風は、泣きそうな顔をしてリボーンを見つめていた。





「リボーン君。言いたい事があるんなら正直に言って。…………私は、邪魔者って言いたいんでしょ?」


「…………」





リボーンは俯いたまま弥風と目を合わさない。口も開かない。それは、正直に肯定を口から紡ぎだされることの何倍も辛く、胸に突き刺さる返答だった。
ユカはまるで自分に返答が返ってきたような気がして、思わず拳を握り締めた。
…………痛い。弥風は、彼女はどんな気持ちでこの言葉を聞いていたのだろう。どんな気持ちで受け止めたのだろう。

しばらくの間その部屋に静寂が訪れた後、弥風が動きを見せた。私の頭をゆっくりと撫でたのだ。吃驚して弥風を見上げると彼女は…………泣きそうだったが、つらそうだったが、それでも耐えていると言った表情を浮かべていた。





「…………そこまで言われたら、もうどうしようもない、ね」


「!」


「あーあ、恭とこの子を守るって…………敵をぶった押すってやくそくしたんだけどなぁ」


「…………山本達も一回別れる。ついでだ送ってもらえ」


「あいよ、任せとけ!」


「よろしく。…………ビアンキ。あんたもユカを守ってよね」


「…………一度私も離れるけど、約束するわ」


「ごめんね、ユカ。ずっと一緒にいられなくて。絶対に、白蘭とか言うふざけた野郎に捕まっちゃ、駄目よ」


「弥風、さん…………」





弥風の手が、自分の頭から離れていく。その手を私は名残惜しそうに眺めた。





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あきゅろす。
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