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雲珠桜は夏に彩る
危機の中の出会い05







だけどこの目に一度捕らわれたら、もう目が離せなくなる気がした。そのまま、まるで私の奥の方まで見透かされてしまいそうな、そんな視線だった。
そう思っていたらこの人は、何かに感づいたように視線を空に向け直す。





「…………あらら、もうすぐそこまで来てますね、ザクロってのが」


「え?!」


「!!」





ザクロ。その名を聞いただけで、ユカの肩が少し跳ね上がった。





「ほら、早く入んなさいって。この二人を取られたくないんでしょ?」


「だ、だからなんでこの人、そんなことまで知ってんのー?!」


「説明はあとあと。…………ああ、もうめんどくさいねえ」


「…………え?」


「いいからここは川平のおじさんを信じましょうって」


「わっ」





この人…………川平のおじさんは足が長いのか、ツナと獄寺二人をまとめて店の中に蹴り入れた。咄嗟に体制を整え文句を言おうとした獄寺は流石と言えたが、ツナはそのまま雪崩込む勢いで転げていった。





「痛そ…………」


「大丈夫スか、十代目!!」


「う、うん…………っていうか、川平のおじさんって…………」


「「十年後イーピンのバイト先のラーメン屋のお得意さん?!」」


「ん?…………おや、もしかししなくてもそこにいるのはイーピン。幼い頃の君もとてもチャーミングだね」


「本物ー!?」


「ま、それはさておき。家具の後ろに適当に隠れてください。扉から見えなければそれでいいんで。後は静かにしといてくださいよ」





川平のおじさんはそう言って、次々にホイホイと私達の背中を押していった。皆は川平のおじさんのその行為に面食らって、なすがままに店の中に入っていく。だが、リボーンだけは店に入る前に一度、立ち止まって川平のおじさんを見上げた。





「…………何か気に食わねぇ。時間がねぇから言うことは聞くが、信用はしてねえからな」


「あらら、厳しいお言葉」


「リボーン、早く!」


「…………ちっ、うるせえぞダメツナ。そんくらい分かってる」





そして私の番になったとき。さっきのこともあって少し避け気味に入っていこうとした私だったが、この人がぼそりと呟いたことを耳の端で捉えた。





「…………珍しいこともあることだ。こんな少女が…………」


「え?」


「おやおや。まだ入ってなかったんですか。ささ、早く早く」


「あ、はい…………」





川平のおじさんは今言った言葉を取り消すように私を店の中に促す。中に入ると、皆がそれぞれ隠し場所を探していて、私も早く隠れるようにと促してきた。私はそんな言葉に首を横に振りつつ、今の川平のおじさんの言葉を脳内で反芻した。

少女とは、私のことなのだろうか。だとしたら、この人も私のことを知っている………?

そんな思考は、川平のおじさんがピシャリと閉めた扉の音で掻き消された。







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あきゅろす。
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