雲珠桜は夏に彩る 危機の中の出会い02 「あ…………っ!?」 「うわぁ!!」 「キャア!!」 悲鳴が飛ぶ、爆風が飛んでくる。さっきとは比べ物にならないくらいの爆発が、私達の真下で起こった。…………嘘だ。 そんなの嘘だ。だってまだ下には人がいる。生きている。さっきまで話をしていたのだ。なのにこんな爆発なんてあったら。 「逃げろって……まさかスクアーロ……!」 「!」 やはりこの状況。考えることは皆同じらしい。ツナの言葉に思わず足が固まった。 動きたくても、まるで鉄で固められたように足が動かない。そして息をする間隔が、段々短くそして荒くなっていく。 「…………やっぱ俺、戻るぜ!」 「バカ武め。スクアーロの稼いだ時間を無駄にする気か」 「小僧…………」 「(稼いだって…………そんな)」 もしかして…………これは本当に。 そんなことはないと信じたい。彼だってきっと生き延びている。…………死んだなんてそんなことはない。そう思いたいのに、皆の表情はそれをうち壊すような物だった。 極度の緊張状態のせいか、胃が締め付けられるような違和感に襲われる。私は両腕をお腹を守るように回し、必死にその痛みを押さえ付けた。その行為に体の芯から来る震えを止めるためと言うことも入っていると言うのは、本人も気付いてはいなかった。 「ユカ、大丈夫か」 「…………ねえ、あの人大丈夫だよね?今はもうどこからか逃げてるんだよね、生きてるよね?」 「…………ユカ、よく聞け」 リボーンは私の肩に手をおいた。 「スクアーロはさっきの通信で、お前に残した伝言がある」 「伝言?」 「お前の記憶は戻る可能性があるそうだ。きっとスクアーロは戦闘中に聞き出したんだろう」 「…………ねえ、生きてるんだよね?何でそんな遺言みたいに言うの?」 「…………」 私がリボーンに強くそれを問い詰めると、リボーンは口を閉ざして黙り混んでしまった。 …………悪いことを、してしまっているだろうか。だって子供ではない。考える力だってあるし、状況も分かっている。それでも私がこんなに問い詰めるのは、どうしても現実から目を背けたいから。リボーンに「あいつは生きてる」って言ってもらいたくて、確信したくて、一人だけの思い込みって思いたくなくって困らせると分かって言っている。 だってそうだ。よくよく考えてみれば、自分達の身代わりになって残った人がこの真下で…………。 「ユカ」 「…………」 「スクアーロ…………奴が所属してるのはヴァリアーつってな。そこの幹部なんだ。実質NO.2だ」 「じゃあ」 「そしてヴァリアーは『ヴァリアークオリティ』ってのを持ってる」 「バリアー、クオリティ?」 「だから信じておけ」 ヴァリアークオリティは万能だ。 リボーンはそれだけ言うと、あとはボルサリーノのつばを下ろし、自分の表情を隠した。 その言葉は、彼が生きていると言うことを確信させるに当たってはあまりにも不確かで、しかし死んでると言うに言い切れない。リボーンからすれば精一杯の言葉だったのだろう。その『バリアークオリティ』とやらを出したのももしかしたら苦し紛れかもしれない。リボーンも生きていると思いたいが、それを軽々しく言えるわけでもない。だからとっさに出たのかも知れない。 だけど。 [*前へ][次へ#] |