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雲珠桜は夏に彩る
自分と言う名の探し物10







ひっそり暴れたいってなんなんだ。前半のあの言葉の流れから、暴れるという言葉に結びつけるのは難しいのではないか。

皆がその言葉に圧倒される中、リボーンがプッと吹き出すように笑い、そしてそれにつられるように、山本も頭の後ろに手を当て声を上げて笑った。





「ハッハハ!!そーいやそーだな!…………行こうぜ、ツナ。スクアーロが大丈夫ってんなら大丈夫だ」


「え…………」


「わ、分かった!じゃあ皆、アジトから出よう!」





ツナのその一声に皆が反応する。
ここにいるユカ、ハル、京子を覗いてしまえば、スクアーロがどんなに強くて、怖くて、逞しいのかはよく知っている。ごく最近に十年前の強さを味わったばかりなのだ。それが十年間、更に暗殺の職業に身を置いて腕を磨き上げた彼は、一体どのくらい強くなっているのだろう?ふとした瞬間にそれを山本に聞いては見たが、
「こう…………どーんてきてズギュンッ!って感じなのな!」
…………らしいので、いまいち分からない。でも強くなっていることは確実だ。





「入江は俺が運び出す!」


「ラルは私が!」





今の様子からでも、その事が分かった。だから皆はそれに安心してここを任せられた。きっとスクアーロなら大丈夫。そう固く信じて。
ユカはそんな皆の心情に複雑な感情を抱いて、スクアーロを見た。





「おおっと」


「お"ぉっと」


「ちっ…………バーロー。いちいち邪魔する
ヤローだぜ」


「シャケ?」


「鮫です!」





奥へと逃げていくツナ達の行く手を阻もうと、ザクロの炎が勢いを増す。それを防ぐためスクアーロは、普通の海でもそんなにお目にかかることができないような尋常ではない規模の鮫で応戦した。ユカの目は驚きでそれに釘付けになる。





「あっ…………ユニ?!」


「スクアーロさん!ありがとう!」


「…………さっさと行けぇ」


「ほら、早く!」


「はい」


「…………」


「あ、ユカちゃんも!」





後ろから、ツナの逃げるのを急かす声が聞こえる。その声自体は焦っていて早く皆を追わなくては、と思うのに、何故か足は動けずにいた。

最初は、スクアーロは誘拐犯と聞き、そして後から暗殺者であることを知った。その事に恐怖を覚えなかったかと言うと、それは嘘になる。本人の顔付きも穏やかなものでは無かったし、少なくとも私には関わりの無かった言葉達だったからだ。
だけど今はどうか。皆を逃がすため、彼一人身を張って敵を食い止めている。
…………この人のことがよく分からない。
その事が、私の足を止めているのかもしれない。





「おっ。ユカさんは白蘭様の元へ行く気になったのか?」


「い、や…………違うけど…………」


「じゃあ動けないだけか?」


「ユカ!!」


「(ビクッ)」





突然のスクアーロの叫び声に、ユカは肩を震わせた。




「全く、さっきから品のない声だな」




ザクロがどうしようもないと言うように、小さく肩をすくめる。だけどスクアーロはそんなこと、気にも留めなかった。








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あきゅろす。
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