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雲珠桜は夏に彩る
自分と言う名の探し物09







これが暗殺者の目だ。そう断言できるのは彼から静かに漏れ出る闘志と、殺気を感じ取ったからにすぎない。その場に居るものは皆、息を飲んだ。





「去れって…………でも、一人で!?」


「まだわかんねーのかぁ!!」





スクアーロの叫び声が通路に響き渡る。しかしその声は心なしか、いつもより張りがない。
それはザクロの背後で燃え盛る炎がここら一帯の酸素を消費しているからなのか。
それとも余裕がないせいなのか。





「リボーン」


「何だ、ユカ」


「これって、まさか今…………」


「フン。お前らより、よっぽどユカの方が分かっていやがるぜぇ」


「え」


「既にお前は、攻撃されてんだぞぉ!!!」


「!!」





ツナ達は一斉に目を見開く。
…………どうして今まで自分達はこれほどまでの応酬に気づかなかったのだ。
気付いてみれば凄まじい。ザクロによる嵐の炎とスクアーロによる雨の炎が、凄まじいまでの応酬を繰り広げていた。どちらの威力も劣ることなく、拮抗が保たれていた。





「スクアーロがいなきゃ俺達はとっくに灰だったな。流石ヴァリアークオリティーだ」


「俺も残るぜ、スクアーロ!!」


「うぜぇ"!」





暗に一人で残ると言い張ったスクアーロを案じてか、山本が名乗りを上げた、が、それはすぐに却下される。バッサリと切り捨てられたことを疑問に思っていると、スクアーロは、敵に向けるより激しく、怒りを後ろにいる者に向けた。敵と向き合っているときは戦闘を楽しんでいる分、まだ(怖いが)笑みがみられていいのかもしれない。
スクアーロは、きっと必要以上に己の身の危険を案じているであろうツナ達に、怒りのままの言葉をぶつけた。





「まだ俺のことが分かってねーなぁ…………!」


「?!」


「そろそろ一人でゆっくり、静かにひっそりれてぇーんだぁ!!!」


「え…………ええーっ!?」


「矛盾…………してるよね、それ」





…………明らかにハッキリと、スクアーロの欠陥が切れるような音がした。






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