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雲珠桜は夏に彩る
自分と言う名の探し物05







「ここって皆からすれば、十年後の未来なんでしょ?」


「?ああ」


「じゃあさ。十年後のリボーンって………どうなってるの?元の姿に戻ってるの?」


「「!!」」





私が軽々とその事を聞くと、私がリボーンに会ってからはイタズラを思い付いたような笑みしか浮かべなかったというのに、驚いたように目を見張った。ユニもユニで呆気にとられている。
何か私は可笑しな事を聞いているだろうか?と今、口にした言葉を反芻してみる。問題はないかと判断し、続けた。





「…………どういうことだ?」


「え?だってリボーンって元はおとn…「おっと、足が滑ったぞ」ふがっ!」


「おい、リボーン!?」


「ユカさん、ちょっとこっち来てください」


「うえ………?」





見事な連携プレイ、とでも言おうか。上手くリボーンの足が私の口に乗って口止めしたかと思うと、続いて私に二の句続かせないように、ユニが私を端へ誘導する。
どうでもいいがやはりこの赤ん坊、身体能力はただ者じゃないと舌を巻いた。
なんだ、蹴って口止めって。

勿論周りに居た皆もすぐそばにいるツナも呆気に取られたような表情を浮かべて私の方を見ていた。
そんなことをしている間に、リボーンの大きな目に凄まれた。





「どう言うことだ?何でそんなことは覚えてる」


「え…………?」


「恐らくですが…………頭の中から記憶が消えるというのは、絶対にないんです。それは真理です。例えそれが全パラレルワールドの知識を得た白蘭であったとしても、これをねじ曲げることはできません」


「じゃあユカは」


「多分、今のユカさんの頭の中は簡単に言うと、靄がかかった状態なんでしょう。途中で覗く晴れの部分から、今みたいなことがあるんじゃ」


「…………そうなのか、ユカ」


「ど、どうなんだろ…………?」





急にそんな難しいことを言われてもよく分からない。それが正直な反応だった。でも、時々ふと何か突拍子にもないことが浮かぶときがあるし、たった今の質問もそれだったのでそうなのかもしれない。
リボーンにその事を伝えると、ただそうかと一言だけ返ってきた。

…………なるほど。靄がかかった状態か。
ユニはなかなか分かりやすい表現を口にする。ユカは素直にその事に感銘を受けた。確かに今の状態を言葉で表すとそうなのかもしれない。





「取り敢えずユカ」


「?何、リボーン」


「俺の正体…………本当の姿のことについては何も聞くなよ。少なくともツナ達の前では、だ」


「え、うん。いいけど…………」


「もし何か聞くような事があれば………穴、空くぞ」


「は、はい…………」





そう言って頭に向けられる、鈍い光を放つ銃口。ユカはそれを冷や汗を流しながらその光を感じ取った。






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あきゅろす。
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