雲珠桜は夏に彩る 自分と言う名の探し物04 「(………えーっと)」 平然と受け入れられる皆がわからない。そう言われても事実、自分達がこれを普通に受け入れてしまっている。ユカの言葉でツナは、目から鱗が落ちてきた気がした。 そうか、十年バズーカーも匣も炎も、普通じゃないんだ。 未来に来て、炎という存在や匣の存在が普通になっているから全然気付かなかった。そうだ。考えてみればそうなんだ。それが当たり前じゃないのに当たり前みたいなことになっている。それはおかしいことなんだ。 自分をマフィアのボスにすると、例の家庭教師が自分の家に来てから常日頃、おかしなことに巻き込まれているツナにとって、段々おかしな事と普通な事の区別があやふやになってきている気がする。これもきっと、あの家庭教師のせいなんだとツナは心の中で、得意気にボルサリーノのつばを微笑みながらあげているリボーンを罵った。 「…………でも、本当にありがとう」 「えっ?な、何が………?」 そんなことを考えていたせいか、ユカの言葉の反応が一歩遅れた。何もしていないのに変な声が出てきたのはご愛嬌だ。 「話してくれて。混乱はしたけど…………でも、なんとなく今の事情はわかった気がした」 「ほ、ほんと?」 「うん。要は私とユニちゃんが捕まらなきゃいいってことでしょ?ユニちゃん優先で」 「いえ、ユカさんもです」 「「!」」 私の言葉に、思わぬ人物からの返答が返ってきた。ユニがドアのところでニコリと微笑んでいる。皆が一斉にそちらに首を回したので、ユニは恥ずかしそうにはにかんでこちらに歩み寄ってきた。 「ユカさん、どうですか?『自分』は見つかりましたか?」 「いや、そんな大袈裟なものは…………でも、なんとなく今の事情は分かったよ。今はそれで十分」 「そうですか」 殊勝に微笑むとやはり返ってくる温かいユニの笑み。その笑みに自分の心が和んでいくのを感じて、思わず私は苦笑を歯の間から漏らした。これではまるで、私がこの子に励ましてもらっているみたいだ。 「そういえばユニちゃん。服は結局、着替えてないの?」 「え?ええ…………まだ皆さん忙しそうでしたので」 「ってことはまだやってんだ、あの騒ぎ」 「あの騒ぎ?」 「なんかランボ君がハルにイタズラしてて…………っとそうだ、リボーン。聞こうと思ってたことがあったんだ」 「何だ?」 私は足元にちょこんと居座っているリボーンに視線をあわせるため、足を折り畳むようにしゃがみこんだ。そうすればリボーンの顔が私の目線のちょっと下ら辺にくる。 [*前へ][次へ#] |