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雲珠桜は夏に彩る
自分と言う名の探し物02







…………こうして、ユカちゃんと向き合って真剣な話をするのは、一体何度目だろうか。これまでの事情を『全部』、『一から』話し出したツナは、その突拍子のない話を真剣に聞いてくれるユカを前に、そんなことを考えていた。

『一から』と言うのは、ツナが非常に不本意ながら、ボンゴレボスの候補者に選ばれた所からだ。そこから話をしないと、後々面倒になるとのリボーンからの提案だ。ユカも面倒臭がらず、ちゃんと聞いてくれている。

ツナは記憶を探り、頭を巡らす。こんな風にユカと向き合ったことは、今で何度もあった。確か一番最初は…………ああ、そうだ。家出したユカちゃんがうちに来た日の夜だ。





「私は、敵マフィアでなければツナの敵じゃ ありません 」


「う、うん 」


「んでもって、今んとこはツナより私の方が ボンゴレ……というかツナ達に関わる事を 知っています」


「 え!? 」


「でも私は一般人です。逃げることはできて も戦うことなんて一切できません!以上!」






確かあの時もこんな風に、ちゃんと向き合っていたはずだ。リボーンが、ユカちゃんがボンゴレについて知ってると言うから何かと思えば、思ってもいないのに真剣な顔で「私は敵じゃない」と言っていたっけ。
あの時は深く追求できなかったから疑問のままで終わらせてたけど、あの時は何でユカちゃんがそんなことまで知っているのかとずいぶん思い悩んでいた。

思えば、あれが始まりだったんだ。





「それで、今は…………」


「…………」





ユカは本当の事を話しても、思っていた以上に落ち着いた様子で、でも貪欲に耳を傾けて自分の話を聞いていた。分からないところや矛盾したところが出てきたら、キチンと質問とした形で口を挟んでいた。

ユカちゃんが家出して、ボンゴレについて知っていると説明があったとき。

記憶をなくす前のユカちゃんが未来に来ちゃって、未来での事情を説明したとき。

ユカちゃんが自分の事を話してくれたとき。

幾度となく、話をした。下らなさそうなことから、中には驚くべき内容もあったはずだけど、自分達は互いに頑張ってその事を飲み込んだ。…………今のユカちゃんは、どうなのだろう?

いくら俺がマフィアのボス候補と知っていても、この事はかなり飲み込むのには知性や理性を総稼働させなければならないはず。見た感じ落ち着いて見えるが…………心の奥は?

こんな話されて困っていないのか。リボーンみたいにうまく人の心を読むなんて事は自分にできないから、その事がとても気になった。




「…………ってな感じに、なってて」




一通り。自分が思い付く限りの事は一通り話し終えた。自分の要領得ない説明にケチをつけるのは後に回しても、取り戻すは状況がユカにも理解できたはずだ。
…………うん、多分。





「…………」


「ユカちゃん…………?」





ユカが口を開かない。終わったのだから、うんと一言貰えるだけでありがたいのだが…………やはりこんな話を聞かせても、余計に混乱させるだけだったのか?ツナは恐る恐るユカの顔を伺った。

あれ、これで本当に混乱していたら、自分が謝るべきなのだろうか?

周りの皆も口こそ突っ込んでこないが、静かに外からなり行きを見守っていた。時々唾が喉を通る音もしてたから、意外と皆が緊張していたのかもしれない。






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あきゅろす。
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