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雲珠桜は夏に彩る
束の間のハプニング09








「俺も行くぜ、恭弥!」




待ってましたとばかりにディーノは雲雀さんの背を追いかける。突然のことに、ツナも戸惑いを隠せない。





「なっ、ディーノさんも?!」


「どのみち戦う相手だ、分散していた方が戦いやすい。…………ユカとユニを頼んだぞ、ツナ!」


「ディーノさん!」


「とりあえず皆を安全なところにつれてっとけ!!…………あだぁっ!?」


「ディ、ディーノさん…………」





どこに行っても格好がつかない人とはどこでもいる。ユカは階段から見事に転げ落ちるディーノを見て、なんとも言えない気持ちになった。
そこら辺にいる人が格好がつかないのならともかく、ディーノは外見も中身も非の打ち所のない人と、ユカの中では認識されている。なのに何をしても格好がつきそうなディーノのちょくちょく目立つドジは………なんというか、笑えないレベルまで引き上げられている。

ツナが心配して上から階段下を覗き込むと、ほっとしたように肩を撫で下ろした。





「あ、ディーノさん無事だ…………ロマーリオさんも来てるから安心だ」


「ちっ…………あの跳ね馬、十代目に心配かけやがって」


「相変わらず、部下の前じゃねーとしまんねぇのな!」


「十年経っても超ダセー…………」


「部下の前じゃないとしまんないって…………」





というか、ディーノさんは十年前からあれなのか。





「付き合い長いんだね…………」


「え、ディーノさんと?そんなにまだ長くはないけど…………」


「だって今、十年経ってもって…………十年前から知り合いじゃないの?」





ボソッと呟けば、帰ってくるのは思いもがけない反応。まさか十年も付き合ってて長くないと言うのは違うだろう。





「あーそこら辺は色々事情があって…………とりあえず、俺達も急いでユニとユカちゃんを地下のボンゴレアジトへ連れていこうか」


「了解っス」


「オッケ」


「奴らへの対策はアジトで練ればいいしな」


「うん…………ラルにも状況を伝えなきゃ」


「通信室を貸せ!クソボスに報告して救援を頼む」


「…………??」





話を…………うまくそらされたような気がするのは、気のせいだろうか?
ユカはそんな気がして、胸に何か渦巻いたものを抱え込んだ。
しかしそれを確かめようにも、地下にあると言うボンゴレアジトへ向けて足を進め出している皆に、今更足を止めさせて聞くまでの事のほどでもない。





「ユカちゃん、行こう?」


「あ…………うん!」




…………まあいいか。

京子ちゃんに促され、ユカも皆と足取りを揃えて歩き出した。






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