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雲珠桜は夏に彩る
衝撃事実、教えます11








取り敢えず、あの二人の仲の悪さはここにいる皆なら全員が知っている。…………いや、雲雀がどれだけ嫌っているか、の方か。どちらにしてもこの二人が会話なんてする前に、ユカを安全な基地の中に避難させたいところ。が、ユカが当の元凶に担がれているのでそうもいかなかった。
骸は白蘭と向き合っているし、十年年上だし、まさかとは思うが…………。
とにかく今の空気を読んでほしい。ツナ含め全員がそう思った。





「って言うか骸、怪我とか大丈夫なの…………?」


「クフフ…………沢田綱吉ですか。お久し振りです」


「…………そうだね」


「「!!」」


「え?」





会話に食い違う相槌が入ってきた。…………誰がそんなこと言ったんだ?





「…………ユカ。歯食い縛っておいて」


「え…………ぎゃ!」





火柱の中から声がする。それは背筋の凍るものだった。
まさかと思ったときには既に、雲雀くんが私を基地の中に投げていた。突然の事でとっさに食い縛る事なんてできなったが、基地の中にいたビアンキが、放り出された身を受け止めてくれた。その雲雀の判断は、正しかった。


…………嘘だ。





「綱吉クンの言う通りだよ、骸クン」


「ヒッ、効いてない!」


「僕の部下に憑依した君はあの時、精神ごと消し去ったはずなんだけどな。少なくともこんな幻覚は作れないほどにね」


「クフフフフ…………確かにあなたの策略にはまり、密閉された空間に閉じ込められたときはもうダメかと思いましたよ。…………一人でしたらね」


「何してんの。早くドア閉めて」


「…………ええ!」


「!?えっ…………」





雲雀くんはユカを投げた後、すぐにビアンキにそう指示する。ビアンキも雲雀の意図を察したのか、私が止める前にさっさとドアを閉め、開けられないようドアノブに毒々しい料理を投げ付けた。そのせいでドアの取っ手が外れドアが歪み、私の力では開けられなくなってしまった。





「ちょっ…………何してんですか!?まだ皆外に居るのに…………!!」





ユカは急いでドアに駆け寄った。投げ出された時についた尻餅の痛みなんて関係無い。変な料理で溶けたドアの一部分に触れる事はできないが、無事な部分を必死に叩いてそのドアを開けようとした。

…………間違いない。あれは白蘭だ。

ユカは一度は自分の目を疑った。だってここに放り込まれる直前、火柱の中に見たあの姿は、紛れもない白蘭その物だったから。さっき私は、これは助かるまいと断定したばかりだ。なのに何で助かって…………いや、何で火柱の中で平然としているのか。
もしかしてあの人は不死身だったりするのか?だったら、皆が危ない。





「今、外にいる子達なら問題はないわ!あの子達は自分で自分の身を守れる」


「そういう問題じゃ!」


「察しなさい、ユカ。雲雀はあなたを守るためにこうしたのよ」


「!!?」





思いにもよらないビアンキの言葉に、ユカは衝撃を受ける。

…………何が、誰を守るためだって?





「ユカ。こんな時にあなたを混乱させる様な事、言いたくないのだけれど…………聞いて。あなたは、いえ、あなたとそこにいるユニは、あの白蘭に狙われているの」


「!?」


「だから雲雀はあんな敵の身近な所に、あなたを置きたくなんて無かった。それに…………これはあなたに限ったことではないのだけれど、ここからは厳しい戦いになると思うわ。そんな血生臭いものをあなた達に見せたくないのよ」


「ち、血生臭いって…………」





その言葉を聞いて、私は思わず座り込んだ。






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