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雲珠桜は夏に彩る
衝撃事実、教えます10








二人は一時、睨み付け合うように視線を交わす。その迫力は私の膝を笑わせるには十分のもので、こんなに離れていると言うのに動くことさえ困難になりつつあった。




「クフフ…………」




ピキッ。確かにそんな音がした。
次の瞬間には地面が割れ、そこから火柱が吹き出る。真っ赤なものがいきなり視界に現れ、思わず目を反らしてしまった。その凄まじさと言ったら生半可なものじゃない。円柱状に吹き出るそれは丁度、その位置に立っている白蘭に襲い掛かる。字の如くあっという間にその火柱に包まれてしまった。
…………あれではもう助かるまい。
火柱の勢いが強すぎてその姿を認めることはできなかったが、頭の中を過るビジョンが私に嘔吐感をおぼえさせた。





「あ…………」


「ユカ!早くこっちに来なさい、巻き込まれるわ!」





基地の方からビアンキの声がこちらに向かって響く。そちらには既に小さい子供達を抱え込んでいる京子ちゃん達の姿が見受けられた。どうやら逃げ遅れているのは私だけのようだ。私はあんなものに巻き込まれて死ぬなんて勿論真っ平なので、急いでその場を去ろうと足を進めようとした。




「!!うっそ…………」




………思ったより進まない。
どうやら私の足が震えるのに続き、腰まで抜けてしまったようだ。全く、何でこんなときに。私は自分の軟弱さを呪った。





「っ」


「ユカ」


「あ…………ありがとう、雲雀くん」





隣で私の姿を見かねた雲雀くんは、私の肩を支えてくれる。無言で助けに入ってくれたと言うことは、私の腰の抜けた姿は他所から見ていても余程無様な姿だったのだろう。
本当に情けない…………と項垂れると、何故か肩に置かれていた手が腰に回り、雲雀くんが一気にしゃがみこんだ。





「お…………お!?」


「煩い、黙って。舌咬んでも知らないよ」


「!?」




あっという間に担ぎ込まれた私。




「雲雀くん!」


「ノロノロして巻き込まれると、僕が困る」


「なんで!?」


「クフフ…………おや、貴女も居ましたか。ユカ」


「?」


「息災そうで、何よりです」





雲雀くんの肩に担がれ、いかにして降りようかと頭の中で画策していると、また先程の頭の中に聞こえてきていた声が聞こえた。今度は自分の耳にしっかりとハッキリと。
雲雀くんにもちゃんと聞こえているらしい、と言うことは、雲雀くんの反応でわかった。この声が響くときに雲雀くんの肩がピクッと揺れたのだ。





「えっと…………骸、様?」


「?…………ああ、そう言えば記憶を奪われていましたね。クロームの真似ですか。『様』は要りません」


「こんな奴と話す事なんてないよ、ユカ」


「?」


「(なんか凄いことになってるー!?)」





ユカが担がれたまま、雲雀くんと骸なるものは会話を続行させる。メンバーがメンバーなだけに凄いことだと、ツナは内心叫んだ。これを声にして叫んでしまえば自分がどうなるかなんて、容易に想像できる。きっと何だかんだでトンファーと槍のような物が同時に飛んできたりするのだろう。



…………ああ、考えただけで恐ろしい。







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あきゅろす。
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