雲珠桜は夏に彩る 衝撃事実、教えます05 流石と言うべきか、ツナのその逃げ足の速さは中々のものだ。まるで普段から逃げ慣れている様な感じで、ついていくのがやっとなくらい。 ユカは走っている時、先程ふと頭に思い付いたことを、ツナに訊ねてみた。 「ツナくん…………そう言えば私とスクアーロ、さんってどんな関係なの?」 「え?…………えっと」 「ズバリ。元誘拐犯と人質だな」 「え?!私誘拐犯!?」 「逆だ、逆」 「何でその発想…………」 「そういやスクアーロは、誘拐の実行犯でもあったな」 「え…………じゃああの人って犯罪者!?」 「それを言うなら、ここにいるほとんどはそうだ」 「????!」 衝撃事実。どうやら私は誘拐されたことがあるらしい。 「しかも一回じゃないしな」 「そう言えば骸にも、だっけ?」 「…………」 衝撃事実その二。どうやら私は誘拐されやすい体質らしい。 「しかも、いつも何らかの形でやらかしてから帰ってきてるよな。骸には飯作ってやったんだろ?」 「…………」 衝撃事実その三。どうやら私自身も相当な人物だったらしい。 なんだよ私。ご飯作るって。誘拐犯に元気与えちゃってどうすんだよ。ほんとに何やらかしてんの、私。 …………ってか、え? 「今さっき、何て…………」 「ん?」 「それを言うなら何とかって」 「『それを言うならここにいるほとんどはそ うだ』?」 リボーンに尋ねれば、正確に復唱してくれる。そうだ、そこだ。でも私が知りたいのはそれだけじゃない。 「何がほとんどは、なの?」 「?だからコイツら犯罪者って事だろ?」 「…………え?」 「そういやその事はまだ言ってなかったな」 リボーンはそんな呑気なことを言った。 「う、そ…………」 じゃあ私が今いるここは、犯罪者の群れ? あり得ない。 ユカのその声は、辺りに爆音と共に響いていった。 [*前へ][次へ#] |