雲珠桜は夏に彩る
白い悪魔の誘引09
なに、これ。
急に頭に流れ出す画像。そこには…………目の前には雲雀くんがいて何かを言っている。
「しかも何。僕が誰と嫌々付き合ってたって?…………僕をバカにするのもいい加減にしなよ」
「?」
「僕は例えどんな状況でも、そんな性に合わないことはしない」
「…………?」
「笑顔の件も、今に始まったことじゃない」
「…………え?」
私はその言葉に裏付けをとるように、ツナ達の方を見た。するとツナは怯えたように首を激しく縦に振った。
「そんな…………俺達だって見たこと無いよ!想像も出来ないし…………」
「あれだな、不敵と言うか…………危ない笑みはよく浮かべるよな」
「咬み殺す前とかな!」
「つーか俺、雲雀さんが笑った所、想像すら出来ないんだけど…………!」
「しなくていいよ、気持ち悪い」
「んなー!?」
…………どうやら本当らしい。
ユカはゆっくり視線を戻した。
「!?」
戻した先には、雲雀くんの顔が目の前にあった。いや、自分が体ごと引き寄せられていた。
…………次の瞬間にはリップ音。
ちゃんと唇に温もりと柔らかさを感じた。触れるだけのものだったけど、その感触は確かに。
「なっ…………!?何っ、」
「…………好きでもない奴に、僕はこんなことはしない」
少し頬を染めた雲雀は、それでも私から目を剃らすことをせず真っ直ぐ私を見ていた。
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