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雲珠桜は夏に彩る
来たる、約束の日07







白蘭は私の手を掴むと同時に私の頭を片手でガッシリと掴んだ。白蘭の手は予想以上に大きいらしく、私の頭をガッシリと掴んでしまう。

逃げられない。





「い…………た!」


「大人しくしててね」


「ユカ!」





白蘭の手から直接何かが流れ込んでくる。気持ち悪くて私は足掻くが、無意味に等しい。遠くから私の名を呼ぶ雲雀さんの声がするが、それでさえ構っていられない。
痛みも強まっていく一方だ。





「あ…………や…………やめ、離して………!」


「黙って」


「ユカ!!」


「!?」





もうひとつ、私の名を呼ぶ声がする。次の瞬間には私と白蘭の間に人が入ってきていた。





「大丈夫か、ユカ」


「…………綱吉クン。今本気だったでしょ」


「当たり前だ!」





ハイパーモードのツナが白蘭のユカを掴んでいる手を目掛けて蹴りを入れる。白蘭はその気配を察してユカから手を離し、後ろに退いた。ユカがその場に崩れ落ちそうなところをツナの手によって支えられ、空を飛ぶようにその場を脱した。

………何だろう。頭がポヤーっとする。まるで頭の中で濃い靄がかかっているみたいだ。

初めて空を飛ぶという奇妙な体験をしてる真っ只中でも、そのことに気を取られるような事はなかった。





「う…………」




私は痛む頭を軽く押さえた。




「大丈夫か、ユカ!?」


「「ユカちゃん!!」」


「ユカ」





皆が駆け寄ってくれる。皆が私の事を心配そうに。

…………あれ。

私は何故か、その事に違和感を感じた。段々頭の靄も取れてくる。
ぼーっとその場に座り込んでいると、傍には学ランをしょった雲雀さんが、いつもようなの無表情を少し崩して駆け寄ってきてくれた。私は直ぐに温もりに包まれる。
…………あれ?ひばりさん?





「沢田綱吉…………礼は言わない」


「別に要らない」


「…………?」





私は今の状況が良く分からなくて、今私を包んでいる雲雀さんの顔を見るように上を向いた。雲雀さんは私を見ると、更に私を抱く力を強める。





「あ、あの…………」


「…………」





雲雀さんはなにも言わない。ただ私と言う存在を確かめるかのように強く抱き締めるだけ。周りの目は気にしない。周り皆も、口出しをするようなことはなかった。





「…………ごめん」


「いや、あの…………そうじゃなくて」


「?」





雲雀さんは小さく私に呟く。でも私は、その言葉を聞いて更に疑問が浮かんだ。

何でこの人が謝るの?

何で私はこんなに大勢の人に囲まれているの?

ここはどこ?

最大の疑問はこれだった。





「あの…………誰?」


「?!」


「ここはどこ?何でこんなところに…………っていうかあの…………良かったら離して、もらえませんか?」


「…………っ」





ユカの中の頭の靄は、既にきれいに無くなっていた。






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