雲珠桜は夏に彩る
一宿一飯の恩義14
「…………小娘」
「さ、ユカチャン。行こうか」
「…………」
γが私の方を見て立ち止まった。白蘭が私に手を差し伸べてきた。私は…………
「(…………はやく)」
早く。γが無事、逃げれるように差し出される手を掴まなきゃいけないのに。足が震えてそこから踏み出すことがどうしても出来ない。足が上がらない。
せめて手だけでもと右腕をあげると、今度は包帯が目に入る。あの痣は、未だ自分の腕の上だ。…………恐怖に、体が支配される。
嫌だ、怖い。
「どうしたの、ユカチャン?」
この手を取れば、私は…………どうなる?
刹那。
「ユカ!!来い!」
「!?」
「意地張るな!嫌ならこっちに来い!走れ!」
「…………っ」
ああ。私はやはり駄目だ。さっきまでの覚悟がγのたった一言で揺らいで跡形もなく崩れ去ってしまう。たった一度、名前を呼ばれただけで。
γはそう言って、私に手を差しのべてくれた。助けてくれようとしてくれた。だから私も思わず、γの方に駆け出して手を伸ばした。γの伸ばした手が掴めるように。
でも、その瞬間に、白蘭の声がすぐ隣で聞こえた気がした。
「駄目だよ、ユカチャン。約束を破っちゃ」
「!?…………がっ」
「おい、ユカ!?」
次の瞬間にはもう、腹に衝撃が走っていた。たった一度の衝撃だけど、私が意識を飛ばすのには大きすぎるほどの衝撃で。
私は薄れていく意識の中で、必死にγの腕を掴もうともがいて足掻く。隣ではやはり、悪魔が私に向かって囁く。
「おいで、ユカチャン」
「ユカ!!」
最後に聞こえたのは、白蘭という名の白い悪魔の囁きなんかではなく、γの悲痛な叫び声だった。私の手は、結局最後までγの腕に届くことはなかった。
「…………ユカ!!!」
×あとがき×
急激に有り得ないほど寒くなってきた今日この頃。皆さんはいかがお過ごしでしょうか?
私、あひるはぬくぬくと布団の中で暖まりながらこうやって更新中です(^q^)
おー、さみ…………。
今回は携帯の調子が悪くて思うように更新できませんで…………。
それでもやはり、でしゃばってくるγ兄貴!調子にのって性格ずれて来てるような気もします(- -;)
もはや白蘭は完全なる黒。真っ黒すぎです。原作の調子よりちっと悪役強めをアピってこうと思えばこんなんに。もうしらね←
ヒロインはヒロインで超ピンチだし……。
あ、そういえばですね。ヒロインがγに話した『漫画』のことですけど。
基本的まだ誰にも言っていない設定です(ブラックスペルの皆さんには言ってしまいましたが)。後はヴァリアーの面子も知ってるのかな?
雲雀さんやツナ達はもちろん知りません。だから彼らの中にはトリップの事を抜いて「どうしてそんなこと知ってたんだ?」って所で止まってます。そこからは突っ込ませない(笑)←
設定が分かりにくくてすいません(- -;)
×レビュー返し×
空様!(*^^*)
いつもレビュー返しありがとうございます!
え―………今回はもう一言で例えるなら『波瀾万丈』って感じです。はい。
ヒロインが髪を切ったのは結構思いきったんです。後々意味のある行為にできたらいいな―と。そこまで深くは無いんですけど(  ̄▽ ̄)←
このあともまたまた事件が続いていきます。
どうぞ、お付き合いください(^q^)
りんご様!(*^^*)
レビューありがとうございます!遅くなってすいません(- -;)
ジャンプするほど喜んでもらえるならこちらも書きがいがあります(^^)ってか私も同様に喜んでます←
これからも更新し続けていきますね!b
朱琳様!(*^^*)
レビューありがとうございます!
勿論覚えていますよ!名前変えられたんですね。再びレビューをいただけて嬉しいです(*^^*)
フランはですね―、書いててもとても面白い奴です。思わず笑いが出ちゃうんです(笑)←
フランとベル!!良いですね、書いてたら止まらなくなりそうww
いつかは書きます、この二人。ええ、書いてみせますとも!(笑)
卍様!(*^^*)
レビューありがとうございます!勿論覚えていますよ!
そう言っていただけると本当に書きがいがあります!これからも死ぬ気で書いていきます!(笑)
イラスト見ていただけたんですね。いや、お恥ずかしい………褒めても何も出てきやしませんよ!?(@ ̄□ ̄@)!!
あと、足元にはご注意ください(笑)
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