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雲珠桜は夏に彩る
新たな問題…………?06










「!?」


「…つかまえ……!?」


「きゃ……?」




目の前ではディーノさんが雲雀さんのトンファーを鞭で捉えているところが見えた。
私はというと……ディーノさんが掴まえた時の衝撃で後ろに後ずさったとき、押されて突き飛ばされた。




……何やってんだ、あんたら。




お陰で私にも被害が及んじゃうじゃないか。この衝撃に耐えたら後で思いっきり怒鳴ってやろう。
そう思って私は目をぎゅっと閉じて、次に来るであろう衝撃に、唇を咬んで待った……。










……ん、あれ?





「きゃ……」


「おっと。大丈夫かい、ユカ嬢?」


「あ、ありがとうございます……」





想像していた痛い衝撃の代わりに来るフワッと抱き留められる感覚。
次の瞬間、私はロマーリオさんの膝の上に乗っかっていた。





「……ったく、おいボス!暴れんのは勝手だがユカ嬢まで巻き添えにすんじゃねーぞ」


「俺は好きで暴れてる訳じゃ……ユカ、大丈夫か?すまんっ」


「あ、はい。大丈夫ですよ」






雲雀の攻撃の間に隙を見て謝ってくるディーノ。私はロマーリオさんに立たされながら返事を返した。






……誰だ、ロマーリオさんを脇役とか言った奴!現に今の時点でロマーリオさんの株が私ん中で上がったよ!



少なくともいま、私の目にはディーノさんよりロマーリオさんの方がかっこよく見える。私も現金な奴だ。




「さ、ユカ嬢。ここじゃなんだから向こうでお茶でも出してくれや」


「あ、はい」




ディーノがトンファーを受け止めるのを見計らって、ロマーリオが私を誘導する。行く先はもちろん安全なリビング。それがわかっている私も大人しく従った。

ふと、後ろから怒鳴り声にも悲鳴にも近い声が後ろから飛んできた。






「おいロマーリオ!俺が受けてるからって他人事だと思っ……」


「だって他人事だろ?」


「!!……うおっ?!」





まさかのロマーリオの発言に悲しむディーノ。しかし雲雀はそんなのに構わずどんどん攻撃の勢いを増していく。もちろん悲しんでいる暇なんてない。





「僕と戦っている時に余所見なんていい度胸だね、跳ね馬」


「うお……きょ、恭弥!違うって……」














「……いいんですかね、あれほっといて」


「おっ、ユカ嬢優しいねえ」


「あれで家が壊れるのは嫌ですから」






ちゃっかり安全地帯まで移動した私達は、玄関の方から聞こえる乱暴な音に顔をしかめる。





「……まあ、ありゃいつものことだからな。ほっといて大丈夫だろ」


「ロマーリオさんも苦労しますね……」






コト……とロマーリオさんの目の前にお茶を置く。ロマーリオさんはgrazie、とお礼をいって片手に新聞、片手にお茶というスタイルで飲み始めた。
その姿はまるで、悪ガキ大将の息子を持った父親そのものだった。


……ある意味ではそうか。





「ん…………」





私は疲れた体に鞭を打つように地面に向かって小さく背伸びをした。
さあ、夕飯を作らなければ。
例え今の出来事で更に疲れが貯まってしまったとしても、これだけは頑張らなければ。





「ユカ嬢、夕飯作んのか。良かったら手伝うが」


「本当ですか!お願いします!」


「俺らは泊めてもらう側だからな。それぐらいやるさ。ユカ嬢も疲れてるみたいだし」


「……ロマーリオさん。ロマーリオさんだけは雲雀さんがなんと言おうと絶対に泊めてもらいますから!」




然り気無い気配り。
私の中でロマーリオさんのランキングが更に上がったのであった。
ビバ、おじ様。








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あきゅろす。
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