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雲珠桜は夏に彩る
騒動、あります02







「そうそう!そこをグイーンとしてだな」


「え?グイーンって…………こう?」


「おっ、やっぱユカは筋がいいのな!」


「ほんと?これ、楽しい!」


「ユカちゃん…………凄」





数時間後。
あれから私は、マンツーマンで山本からバイクのいろはを教えてもらった。山本も初心者なのにこんなに教えることが出来るのは凄いと思ったが、ツナ曰く、山本の擬音語だらけの指導で上達出来るのも凄いとか。





「ユカもツナより運動神経いいな。…………ま、ツナよりダメダメな奴はそういねえが」


「はい、流石です、ユカ殿」


「えへへ、そう?」





そう言われるまでにそう時間は掛からなかった。





「やっば…………バイク楽しい!」


「きょくげーん!!!」


「うわっ!?」


「曲がれた、曲がれたぞぉ!!!」


「あ…………あはは」





気持ちよくバイクを滑らせていれば、いきなり前に影が横切る。慌ててハンドルを切り、横切ったものを見ると…………丁度了平がバイクを止め、万歳をしているところだった。どうやらあの「極限ドリフト」をして、いきなり方向転換をしたらしい。危ないったらありゃしない。






「お、ようやく了平も物にしたか」


「物にした…………、ね」




最早乗れればなんでもありか。




「乗れなきゃ元も子も無いからな」


「ふーん。そんなもんかねえ」





リボーンの言葉をいまいち納得していない様子で聞く私。そんな横で、さっきとは違い私の横をゆっくりと過ぎ去る影も見えた。





「…………!うわっ」


「こ、こっちも見てるだけで怖いわ………」


「ツナ!あとお前だけだぞ。気合い入れろ」


「そ、そんなこと言われたって!」





こっちはのろのろと進んでいるツナ。エンジンの吹かし過ぎじゃないかってくらいのスピードだ。バイクが大丈夫なんだろうかって心配になる。むしろこっちの方が事故を起こしやすそうだ。





「ツナ、そこまで出来てるんならある程度スピードあげた方が安定するよ!」


「ほ、ほんと?」


「うん!」


「そうだぜ、ツナ!もっとクイッとしてギュイーンなのな!」


「ク、クイッ?ギュイーン?」


「あー、取り敢えずゆっくりとスピード上げてみな!」


「う、うん…………」





言われるままにゆっくりと右上がりにのびていくスピード。ツナの震える手での操作は少し危なっかしいと思いつつも出来ている。
ある程度スピードが上がったところで、ツナのバイクは安定感を保てていた。

為せば成る為さねば成らぬ、何事も。

ツナはやはりやれば出来る子だ。





「で、出来た…………!もう転ばないよ!」


「うん!出来てる」


「十代目、やりましたね!」


「結局お前がビリだったな、ツナ。ユカなんか今日が初めてだったのにな」


「余計なお世話だ!」


「そういうこと言わないの、リボーン」





やった、やったと乗れた勢いでずっと走り回るツナ。きっと乗れたこの喜びを忘れたくないのだろう。周りの者もその気持ちを察したのか、その姿を皆が生暖かい目で見守っていた。





「これでチョイスの方も大丈夫だね」


「…………だといいが」


「え…………?」


「ほら、見てみろ」


「?」





リボーンが鼻でツナを笑った。不思議に思って私が首を傾げてツナを見たとき…………大音量のブレーキ音が、辺りにツナの悲鳴と共に響いた。





「極限ドリフトぉ!!!」


「うえっ、お兄さん!?」





どっしゃーん…………!

急に曲がってきた了平に気付かず、危なく接触してしまうところをツナはハンドルを大胆に切る事で対処した。…………が、しかし、さっきまでふらついて転ばないように必死になっていたツナが、まさかそんな急ハンドルに耐えきるわけがない。

私が案じた様にツナは、思いっきりバランスを失い、横の倒れる形でバイクから放り出された。





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あきゅろす。
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