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雲珠桜は夏に彩る
馴れない二人のガールズトーク05








「あの笹川の妹とか言う奴も、うるさい小娘も、現状を知った時は怯えているような顔をしていたぞ。お前はそんなものつけられておいて、怖いとかいう感情は無いのか?」


「え?そ、そりゃあ無いと言ったらウソにはなりますけど…………」


「?けど…………?」






ラルは不思議そうに首を傾ける。

…………これを言って良いのだろうか?これを言ったらノロケになるような気もする。

私はそう思いながらも、このまま答えられないで怒鳴られるよりはいいと、頬を少し染めながら口を開いた。






「み、皆、心配してくれるんです。そりゃ異常なまでに」


「…………は?」


「ツナとか京子ちゃん達とか弥風さん達とか。本当に心配してくれて………だから、私が落ち込んだままじゃいけないなって」


「…………沢田達ならやりそうだな」


「はい。それに」


「それに?」


「それに…………えっと」


「なんだ」


「………私の事、守ってくれるって………言ってくれる人が居て。だから、怖くても大丈夫って言うか」





…………そう、安心できる。

今のあの人も、十年後のあの人もそう言ってくれた。私が不安そうな顔になると表情には出さないけど、気を使ってくれたりしてくれた。分かりにくい人ではあるけど、その事は辛うじて私にも分かった。だから、私はあの人が守るって言ってくれるだけでホッとしてしまう。きっと大丈夫だって。

恐らく、勝手に頬の筋肉が緩んだのだろう。ラルが呆れるような溜息をついて、たった今思っていた人物の名を出してきた。

私も、油断していた。





「…………雲雀か」


「………え?!な、な、なんで?!」


「そりゃあ…………こっちの時代の雲雀は、常にお前の事気にかけていたんだ。知らない訳がないだろう」





呆れるように吐き出すその言葉。…………ラルのその言葉は、私の思考能力を奪うのに十分な力を持っていた。

え、こっちの時代?常にって………いつも?





「こっちって…………十年後の?」


「それ以外何がある」


「え、だって………それにあれ?なんで…………!?」


「?何をそんなに慌てる必要があるんだ。どうせ昔から付き合ってたんだろ?周りもそれくらい…………」


「知ってるの?!」





カアアア…………!
きっと今の私の顔は、そんな効果音とともに真っ赤に染まっていったに違いない。段々火照っていく頬の感じが、その事を告げていたラルは、そんな私を不思議そうに見た。





「それって、どのくらいの人が……!?」


「?あいつら…………ガキどもはどうか知らないが、少なくともこっちの時代の奴らは皆知っている筈だ」


「ええっ、それが何で?!だって付き合いだしたのは昨日ですよ?!」


「…………は?」


「いや、だからお互いの気持ちが分かったのは昨日の夜で、誰にも言っていないはず…………」


「ちょっと待て」


「はいっ?!」





赤面顔で混乱しながら話すユカ。きっと、本人も自分で何を言っているか自覚していないのだろう。結構恥ずかしい事を言っている気がするのは自分だけか。





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