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雲珠桜は夏に彩る
馴れない二人のガールズトーク02








「…………優しいんですね」


「は?」


「今、物凄く心配そうな顔をしていました」






ラルの方を見て、私は笑った。
さっきの慌てた顔は…………まるで、心配している時のツナの顔と同じ顔だった。心から心配していると言うような。それをラルに言うと絶対切れられるのは分かっていたので、口には出さなかったが。





「…………勘違いするな」


「?」


「オレはただ…………十年前のバジルとは言え、オレが鍛えてきたというのにくたばったんじゃないかと心配しただけだ。容易に負けているようじゃオレの顔が立たないからな」


「ありゃ」





全く、素直じゃない。

口ではあんな冷たい事を言っているが、私が指摘をしたせいでラルの顔は真っ赤に染まっている。それを見れば、今言った事が嘘だなんて事、容易に分かった。
しかしそれを言うと、ラルは先程と同じように、思っている事とは反対の事を必死に言うんだろう。それが分かってしまうから、私は思わず微笑んだ。

私でこんな感じなのだから、リボーンにからかわれている時はもっと大変なんだろうな。






「あ、そうだ」


「?」


「あの、私ラルさんが呼んでるって聞いたんですけど…………。何か用があったんでしょう?」





当初の目的が頭に浮かぶ。この事があって、私はバジルを運ぶついでに来たのだ。忘れてしまっては、元も子もない。

…………しかし、返ってきた返事は思いにもよらないものだった。





「?なんだ、それ」


「…………え?」





私の笑顔が固まる。ラルも、何を言っているんだ、と言うような顔。

あれ、確かに私聞いたよね?

言われた時の状況を思い出す。…………そう、確か京子ちゃん達と地上に行く話をしてて。それで私も誘われて、リボーンが言外で行ったらダメって言う事を伝えてきたので断って。…………その時に聞いた。間違いない。





「やっぱり私、聞きましたよ」


「誰にだ?」


「リボーンです。リボーンが……………リボーンの仕業か!」


「…………いかにも悪知恵が働くあいつがやりそうなことだ」


「何やってんだ、リボーン…………」





私は思わず頭を抱える。
あのやろう。一体なんだって言うんだ。まともに話した事もない私とラルを引き合わせて。何をさせたいというのだ。





「…………」


「…………」





意味が分からない…………。

証拠に、何か話題すら思いつかない私達の間には沈黙が流れている。
ああ、いっそのこと帰ってしまおうか。リボーンが私に何をさせたいかとかよく分からないけど、このまま居たって邪魔になるだけのはず。そうだ、きっとラルさんだって私が居ても…………。






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