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雲珠桜は夏に彩る
女達の本音と苦悩03








それは私がリボーンの揉み上げを見て、どうなってんだろうと、ふと考えているときの事だった。







「あ、そうだ…………」







京子ちゃんが、何かを思い出した様な素振りを見せる。それだけで、皆は京子ちゃんの方に視線をやった。







「ハルちゃん。すっかり忘れてたけど、頼んでたあれ…………」


「はひ!そうです、忘れてました!」


「?」


「あの、ビアンキさん。例の件、頼んで…………?」







例の件?
怪しげな言い回しで言うものだ。

ユカはリボーンの揉み上げを突っついてみながらそう思った。でも、京子ちゃんとハルは不安そうに眉を潜め、ビアンキの表情を窺っている。ビアンキやリボーンもああ、と頷いているのでどうやら分かっていないのは私だけらしい。







「ちゃんと言っておいたわ」


「ああ。俺は良いと思うぞ」


「本当!?」


「やりましたね、京子ちゃん!」






イェーイとハイタッチをする二人。
このままでは本当においてけぼりになりそうと危惧した私は、必死に頭の中の物を使って考えた。

…………この後に何かあったっけ?

そして二人の話が十年後のナミモリーヌと分かり、一つの考えに辿り着く。






「もしかして…………」


「ユカさんも!」


「へ?」


「ユカちゃんも一緒に行かない?地上!」






ああ、やっぱり。
皆して話していたのは、地上散策の事だったのだ。

私はその瞬間、紙面での場面を思いだし、脳内キャンパスに描いた。あの中に入ることが出来るのは楽しそうだと、顔を綻ばせた。今、雲雀さんの家がどうなってるかは知らないが、外観だけでも見ることは出来るだろう。
答えは勿論yes と言おうと、首を縦に振りかけたその時…………リボーンの顔が目にはいった。






「…………」







目伏せをして、ボルサリーノの縁を下げている。残念なことに、私はそれだけでも十分理解できた。出来てしまった。
その合図に肩を落としそうになりながら、その事に京子ちゃん達に気付かれないよう肩を張って、平然とし続けた。







「あー………えっと。私、いいや」


「はひっ?何でですか?」


「一緒に行かないの?」


「うん…………」


「ユカはさっきラルが呼んでいたからな。どうやら急な話があるらしい」


「そっか…………ならしょうがないね」







肩をしゅん…………と落とす京子ちゃん。ハルも、一緒に行きましょうよと粘って誘ってくれたが、こればかりはどうしようもない。私の意思ではないのだし。

…………って言うか聞いてないぞ。ラルさんが私の事を呼んでるなんて。

でも、自分の事の様に落ち込んでくれているのを見て、表には出してない落ち込んでいる気持ちが少し軽くなった。






「あ、でもケーキは私も食べたいな。お願いして良い?」






そう言えば二人は嬉しそうに頷いてくれた。
話は私になんのケーキを食べさせてやるかに行って、盛り上がりを見せようとしていた。
ふと、ハルがこちらを向く。







「あ、それじゃあユカさん!行けないなら今日…………」







ゴニョゴニョゴニョ…………。
私の目が、輝いた。







「…………それ、良いね!やろう!」


「絶対楽しいですよ!」


「そうなると、夜が楽しみ!」


「そうだ。そこで皆でケーキ食べようよ!少しずつ交換しあってさ!」


「美味しい紅茶もいれましょう!」


「「賛成!」」







私達の計画は、あっという間に固まった。こんな女子的なノリなんて、本当に久しぶりな気がする。
私は、さっきまでの地上に行けない事への落ち込みがどこかへ飛んでいき、年柄にもなく久しぶりにはしゃいでしまった。

食堂には黄色い声が響き渡った。





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