雲珠桜は夏に彩る
今まで隠してきたこと11
ガッシャーンッ!!!!
私の後ろで、何かが落ちる音がした。
音の反響で耳鳴りがなる。その音が不快で、折角心に暖かいものがあったのに何処かへ消えていってしまった。
「!?何…………」
「ぐびゃっ…………」
「なっ…………ランボ!?お前…………!」
ツナの声で後ろを振り向く。そこには無惨にも、ラル・ミルチの物と思われるゴーグルが…………破片となって、落ちていた。
どうやら、ランボが走り回ったせいで棚から落ちたようだ。
私はそれを見て、血の気が引いた。
「ら、ランボさんのせいじゃ無いもんね!」
「どう考えてもお前のせいだぞ!?ど、どどどーすんだよ、これ!?ラルが怒ったらめちゃくちゃ恐いんだぞ!?」
「じゅ、十代目のためならこの俺が直してみせます…………!こんなのこうして…………」
「え…………変にいじくったら…………」
バギャッ…………
「「「「あ゙あーっ!!?」」」」
跡形もないくらい崩れ去ってしまった。
「コロネロからの贈り物だったらしいぞ」
「その情報、むしろ最悪ーっ!?」
「かっ、隠しましょう!!」
「そんなのすぐバレるよっ!!」
「び…………ビエーンッ!!!」
ランボはさっきから雰囲気を、よくも悪くもすごく変えてくれると思う。
例えそれが凶と出たとしても。
次の瞬間から、ツナや獄寺はどうやって誤魔化すか必死に駆け回り、了平と山本は事の重大さを分かっておらず、ただ笑うだけ。ランボが泣き喚くから、イーピンとフウ太は必死にそれをなだめさす。
ちょっとした地獄絵図だ。
勿論、直すことはおろか、どうする事も出来ない私はただただそこで見守るだけ。
そうしている間にも、この食堂はもっと騒がしくなっていった。
「…………ねえ、リボーン。さっきの本当なの?あの…………」
「コロネロが、って奴か?嘘も方便ってな」
「どこが方便なの」
やっぱり嘘だったか、とツナの方を見る。
まあそれが嘘だとしても、確かあのゴーグルは、ラルの右目の不自由を補うための物とか言っていたはずで、大事なものであるという事には変わらない。事の重要さは変わらないのではないだろうか。
これがバレたら半殺し…………されないといいね、ツナ。
「ユカ」
「ん?」
「お前…別の世界があるって言ってたよな」
「うん…………そう。信じられない?」
「いや、そうじゃねえ」
リボーンは自分の手の届く範囲であったコップを掴み、未だに泣き喚いているランボに向かって投げる。さっきからの騒ぎがうっとおしかったらしい。コップは見事にランボの頭に命中した。
もっとランボが泣く羽目になり、騒がしさに拍車がかかっていった。
[*前へ][次へ#]
[小説ナビ|小説大賞]
無料HPエムペ!