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雲珠桜は夏に彩る
今まで隠してきたこと07







「薄々、気付いている人もいるかもしれないけど…………なんて言えばいいかな。こう言うのは可笑しいかもしれない………私達、本当は会うはずじゃ、無かったの」


「…………?こっちに引っ越さなかったかもって事?」


「ううん。前提から違うの。……本当は、会えるはずが、すれ違うはずも無かったの」


「え…………」


「ねえフウ太。私、今の…………十年後の私、ここにいなかったんでしょ?なんでか知ってる?」


「え…………ユカ姉?確か…引っ越したって聞いたよ。いきなりだったから挨拶とかできなかったけど」








フウ太が戸惑うように言葉を紡ぐ。
両手に収められているランボとイ―ピン達は、まだよく、話の内容が入っていないのだろう。だた、私のほうを見ていた。不思議なことにランボは、暴れたりしださない。







「…………私も、大人になったイ―ピンからはそう聞いてる。でも、私が引っ越しできる訳がないの」


「!どういう事」


「ビアンキさん…………。この中では分かるのはビアンキさんだけですよね?私、本当に引っ越しでした?」


「…………」


「正直に言ってください。教えてください…………」







そう言うと、ずっと押し黙っていたビアンキは何かから目を逸らすように視線を床に向けた。不審に感じたフウ太は、戸惑いを隠せないという目で、ビアンキのほうを見る。








「ビアンキ姉……引っ越しじゃ、ないの?」


「…………」


「ビアンキ、言え」


「…………リボーン」







鶴の一声ならぬリボーンの一声。そこまでダンマリを決め込むつもりだったらしいビアンキも、困ったように顔を上げた。「…………ええ、少なくとも、引っ越しではなかったわ」「!!」




…………分かっていたこととはいえ、やはり肯定されると胸が痛む。








「引っ越しじゃない?じゃあなんでユカ姉は急に会えなくなったのさ、ビアンキ姉!」


「会えなくなった…………?!」


「ユカ姉に会いたいって言っても会わせてくれなかったじゃないか!」


「会わせなかったんじゃないの。…………ユカは、急に消えた。居なくなったのよ」


「!!」







流石にこれを聞いた皆は、言葉を失った。

消える?居なくなる?どういう事なんだ。人間がそんな急に居なくなるはずがないじゃないか。

フウ太に関しては、今まで聞かされていたことと真実が全く違うということを知り、ショックを受けた。








「…………ビアンキ。詳しく聞かせろ」


「…………本当に突然だったの。およそ十年前…………いつも通りに皆、学校に行ってたはずなのに、ユカだけ来なかった。心配になって皆で探したり、捜索届を申し入れたり、ボンゴレの方でも九代目に頼んで探してもらったわ。でも、見つからなかった」


「九代目に頼んでもか」


「ええ。出て行った痕跡もなかったし、ユカの目撃情報もない。…………あり得る?この地球上のありとあらゆる場所を探したというのに、目撃情報も見当たらなかったのよ?戸籍も両親の情報すら、見当たらない。…………短時間で、ユカは消えてしまった」


「そんな…………」







驚愕に満ちた、皆の顔。
でも、今からいう私の言葉は皆をどんな顔にさせてしまうのだろう。








「…………どういう事だ、ユカ。お前、知ってんのか…………?」


「多分…………それが私が隠していたこと、だと思う」


「!?」


「私………所謂異次元、別世界から来たのだから…………」


「…………は?」


「いきなりそう言われても分かんないよね。…………あのね。私のいたところには、イタリアも、日本も勿論あった。でも、並盛なんて地名どこ探しても無い」


「それはユカが知らねえだけじゃ…………」


「ううん。無いの。断言できる」








言った…………ついに、言ってしまった。








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