雲珠桜は夏に彩る
新たな問題…………?01
軽く苦笑いをした私は、その五人の一人一人の顔をみた。
「で、実は笠原さんには試合に出て欲しいんだけど……」
「ふーん、試合ねえ………………試合!?」
「あ……やっぱりダメ?」
眼鏡の子が分かりやすいほど首をしゅん……と項垂れた。私は何となくそれを見て悪いことをしたような気になった。
「えっ……あ、そうじゃなくて!私ここ最近テニスなんてやってないし力になれるかどうかも……」
「いいの!そんなの気にしないで!出てくれるだけで良いから!」
「あと試合まで一週間しかないけど……ちゃんとびっしりやるから!練習!」
「え……」
「だからやりやがれ、ユカーッ!!」
「はい!?」
そんな無茶苦茶な。
「お願いします笠原さん!もうあなたしかいないの!まさかルールも知らないような素人を入れる訳にもいかないし……」
ずいっと皆から迫られる私。その迫力は試合が近日に迫っているからか、凄い物がある。既に心当たりと言う心当たりは当たってしまった後だと言う。私はその時にふと、皆の目が目に入ってた。
……皆真剣で本気だった。
「……わかった」
「本当!?」
「ただし!私が家の人に許可をもらってOKを貰えたらね!それと私はラケットとかもうないからね」
「全然いい!!」
「やったっ!」
パッと私の手から皆の手が離れる。
テニス部で肩を抱き合って喜んでいた。
……ここまで喜んでもらってあとで断るはめになったらどうしようか……。
「……ユカ、本当によかったの?」
「……うん。もうここまで来たらやるしかないでしょ?」
「でもあんた今、沢田…………いや、かえって気分転換になるかもね」
花は自分の言いかけた言葉を遮って、私の頭に手を乗せた。
「……何で私こんなに頭撫でられる事多いかな?」
「そりゃあんたが撫でてほしそう……な顔をしてるから」
「してない」
でも拒否はしないユカ。
座っているユカは立っている花に大人しく撫でられていた。
「……」
私はさっきまで考えていた事に思想を戻す。
……んー……この事聞いたら雲雀さん、何て言うかしら?
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