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雲珠桜は夏に彩る
今まで隠してきたこと05







一人一人、顔を見る。そして、心の中に決意を固め、口を開いた。







「そうだな…………何から話そう」







皆の視線が注がれるのが分かる。一言一言が皆に吸い取られていくみたいで。大勢がここにいるはずなのに、何故か孤独感を感じた。




…………まずは。






「…………皆に、過去の事話したけど、私が来るきっかけは話してないよね?」


「うん…………」


「じゃあそれからだな。そうすると話長くなっちゃうけど…………」


「構わねえ。話せ」


「うん」


「(ユカちゃんが、未来に来たわけ…………)」








私は頭のなかを整理しながら、出来るだけ簡潔に、でも分かりやすく伝わるよう言葉を並べた。







「そうだな…………皆が未来に行って、しばらくたって…………最初に起きたのは、ツナに会えたことかな」


「え…………お、俺?」


「そう。ただし、十年後…………24のツナだけど」


「ええっ!?」


「あ。これから結構カミングアウトしてるね」







そう言えばまだ、ツナは十年後の自分が死んではいないと言うことを知らないんだっけ。
まあどっちでもいいけど。








「でも俺、十年後は死んで…………」


「死んでなかったみたい。ピンピンしてた」


「…………ユカ」


「!」







獄寺が、私に詰め寄る。
いつもの1.5倍ぐらい眉間にシワを寄せて、ほんのりと瞳を潤わせて、いつもの表情が嘘みたいな顔だった。
獄寺の手が、正確に私の肩をとらえた。指が、しつこく食い込んでくる。








「嘘じゃねえんだよな!?嘘だったら果たすぞ!」


「嘘じゃないよ。今回の事…………白蘭の事とか、メローネ基地の事とか…………全部、大人のツナから聞いたんだもん」


「!」







今度は私の言葉に皆が目を見張る。
これは嘘ではない。ツナがうちに泊まって私が部屋にいったとき、全部話してくれた事だ。…………勿論、原作から得た知識が殆どだったけど。








「だからあん時、全部知ってるって…………いや。それより十代目が未来でも生きていた…………!」


「よかったな、ツナ!」


「え!?う…………うん」








獄寺はただただツナが生きていた事に感動し、山本は横でほっとしているツナの肩を叩く。この中でツナの死を間近で感じていたビアンキやフウ太は、自分の見た光景が間違っていたことが信じられなくて、ただ目を見開いていた。
そんな皆を見ながら、私は続ける。








「それで…………ツナの後は獄寺と山本、ランボとイーピンが来て。途中、ホワイトスペルに追いかけられて…………で、最後に雲雀さんと会った」








勿論大人の。そう付け加える。







「…………ユカ。そんな話、聞いてないよ」


「だって話してないもん」


「…………」







雲雀さんにそう言うと、呆れた顔で見られた。
実際は、なにも言われなかったから話さなかった、という方が近いだろう。なんせ、私がこっちに来たときはそんなにいい状況ではなかったのだし。そんなことを話す余裕なんて無かった。

ぶっちゃけ、一時期はその事さえ忘れていた。







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