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雲珠桜は夏に彩る
今まで隠してきたこと








…………目が、覚めた。

初めて恋人………?が出来た私にとって、結構あっけらかんとした朝だったような気がしたが………気の抜けたような雲雀さんの顔を見て、思わず顔が綻び染まっていった。

寝起きに雲雀さんがいた事は何度かあったりしたので、今更こんなことには驚かない。
時刻は…………9時を回った所。そろそろ起きねばならない時間だ。
その時、襖の向こうから、ノックらしき音が聞こえた。








「これって開けていいのかな?…………えっと…………ひ、雲雀さん?出来ればユカちゃん、いませんか…………?」


「…………ツナ?」


「あ、ユカちゃん…………!そろそろリボーンが起きて来いって。…………まさかそこに雲雀さん、居る?」


「寝てるよ」


「えっ…………じゃあ静かにしなきゃ…………!だって雲雀さん…………」


「…………今は大丈夫みたい」








起きている雲雀さんに会うのが恐ろしいのか、襖越しに話しかけてくるツナ。中に招き入れようとすると、焦ったように思いっきり否定してくるツナの声を聞いて、姿を見なくてもどんな状態でうろたえているのかが想像でき、思わず笑ってしまった。








「じゃ…………じゃあ俺、先戻ってるから!朝食はこっちで取れってさ」


「うん。わざわざありがとう。すぐ行くね」








会話が途切れると、ツナが去っていく音が廊下に響いた。

…………久しぶりにこんな時間までぐっすり寝てしまった。

恐らく基地に居るほうの皆はすでに起きて朝食も取り終っているのだろう。きっとリボーンも来るのを待ち侘びているに違いない。
そう思いつつ私は、横で未だにゆっくりと寝息を立てて寝ている雲雀さんの肩を揺らした。何故か起こすのは気が引ける。
ゆっさゆっさと肩を揺らすと、雲雀さんが息を潜めるのが手を伝って来た。








「雲雀さん…………そろそろ起きてくださ…じゃない、起きて。もう9時だよ」


「…………ん」








木の葉の落ちる音で起きるだけあって、寝起きもよろしい雲雀さん。だが、何故か私の顔を見るなり再び目を閉じようとしてしまう。








「え…………何故にまた閉じるの?起きてください」


「…………寝る」


「ええ?」








きっと目は覚めているはずなのに布団から出ない。それはいくら体を揺さぶったって同じことだった。
試しに布団の隙間から覗いている頬を突っついてみると…………








「…………む」







…………なんか、普通に可愛かった。(しかし起きてはくれない)
しょうがないので私は起こすのもそこそこに、重い腰を持ち上げる。








「もー、雲雀さん。私準備してくるからそれまでに起きといてね」


「…………」








反応はない。だが、しばらくすれば雲雀さんも観念して起きてくるだろうと高をくくって、私は身支度をするためにその部屋を後にした。









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