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雲珠桜は夏に彩る
最後は笑うだけ18







朝。
二人の少年少女が、一つの部屋で川の字の様に仲良く寄り添って寝ていた。そこに、部屋の入口に二人の寝姿を見守る…………というか、覗き見るようにしている一人の人影があった。








「いつつ………完全に二日酔いになっちゃったけど、朝からいいもの見せてもらったわ」








頭を押さえて二日酔いから来る頭痛を堪えている人物……相模弥風の姿がそこにあった。








「やっと結ばれてくれたのね、あの二人…………」


「…………弥風さん?そんなところで何をしていらっしゃるんですか?」


「あ、哲!………静かにこっちに来て見て」








後ろから聞きなれた声が響く。弥風にとって、雲雀の次に付き合いの長い人物…………草壁哲也が、怪訝な顔をしてこちらを見ていた。
弥風はその声を自慢の耳で捉えると、嬉しそうに微笑みながら唇に人差し指を押し当てて、もう片方の手で草壁を招いた。
草壁はと言うと、先ほどまで頭を押さえていた弥風を見て、またか、言うように溜息をつきながらこちらへ歩みだす。








「…………弥風さん。またそんなになるまで酒を煽ったのですか…………」


「だって…………ユカに会えたり、ちっちゃい恭に会えたりで嬉しかったんだもの」


「もうそう若くないんですから。無茶な呑み方はやめて下さい」


「あら、ひどい。哲はやっぱり若い子のほうがいいの?」


「そうは言ってません」


「ふふ…………ありがと。それより…………ほら、見てみて!」


「?…………あれは」







弥風に促されて部屋の中を覗き込む。草壁の思い違いでなければ、ここは雲雀の部屋だったはずだが…………。








「!」








勿論覘いた先には、二人が寄り添うように眠っている姿が見える。草壁は想像もしない姿に驚き、慌てて弥風のほうを振り向いた。危うくトレンドマークの咥えていた葉を落とすところだ。








「どう?驚いたでしょ?」


「驚いたも何も…………」








まず言葉が出ない。一体自分の知らぬ間に何があったのだろう?

確かに昨日、落ち込んでいる雲雀に元気を出してもらうため、ユカを雲雀に会わせるようなことはしたが…………誰がこうなると想像できただろう?

草壁はもう一度、今見たものを確かめるように部屋を覗き込む。もう一度草壁の目に写った風景は、勿論さっきと変わることはなかった。弥風はそんな草壁を見て、ゆっくりと言葉を紡ぐ。








「ねえ、哲?あの二人…………こうして見ると、年相応に見えると思わない?」


「ええ………恭さんのあんなに力の抜けた様子………今も昔もそう見た事がありません」


「そうじゃなくて」


「?」








その言葉で草壁は振り返る。振り返った先には弥風の横顔が見えて…………雲雀たちを慈しむ様に見る弥風の横顔は、美しく見えた。草壁は柄にもなく、慌てて横に顔を逸らす。


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