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雲珠桜は夏に彩る
悩める者達12








いきなり応接室の天井から降ってきたユカ。その時、僕の方をやけにキラキラした目で見てきたのを覚えている。
確か間違って咬み殺そうとしたけど…………その後のユカの話を聞いて、愕然とした。あまりにも、内容が衝撃的だったから…………。





『えっと…………私、別の世界?から来ちゃったみたいなんですけど…………』





自信なさげに、肩を萎めながら聞こえないくらいの大きさで呟くユカ。
あのとき口にした「別の世界」と言う言葉。


別の世界…………?








「…………まさか」


「?」








ユカが来たときも唐突の出来事だった。ならば帰るときは?
…………唐突じゃないと、なぜ言える?








「…………!」








ユカは…………自分の世界に、帰った?


僕は今、自分の脳に横切った考えに呆然とした。まさかそんなこと………あっても良いのか。それではどうしようもないじゃないか。
ユカが僕に愛想尽かして出ていったとかなら無理にでも連れ戻せば良い。
誰かに連れ去られたら取り返すまで。
でも、それがユカの意思が働いていないところ………ましてや、異次元なんて到底自分達の力の及ばないところに行かれては、どうすることも出来ないのではないか。








「恭さんは…………知っているんですね?」


「…………?」


「笠原が居なくなった、訳です」








……僕はその質問に答えることができない。
草壁は答えを聞きたいと言う顔をしていたが、何故か口にすることができなかった。
見かねた草壁は、再び頭を下げる。








「恭さん…………恭さんならきっと、止められるはずです。どうか手遅れになる前に…………!」


「…………どうしろって言うの」


「!?」









僕は後ろを振り替える。そうやって草壁と目をあわせないようにした。

自分は今、どんな表情をしているだろう?


傷ついた顔?



悲しんでいる顔?



失望している顔?



………どれにしろ、今の自分は誰にも見られたくない。こんな情緒不安定な自分の姿なんて…………。









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あきゅろす。
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