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雲珠桜は夏に彩る
悩める者達08








気付いてしまったことに、私は少なからず後悔の念を抱いてしまう。


…………怖い。



この話をすることで、私が改めてこの世界の人にはなれないと認めるのが。
いや…………この世界の人とは私は違うと認めるのが怖いんだ。その説明のほうが近い。


頭が……痛い。視界が歪む。世界が揺れているような気がする。
きっとこの症状は、現実から…………答えることから逃げたいと思っているからこその症状なのだろう。そのあまりの自分の弱さに悔しいのか悲しいのか、苦笑しながら涙を流しそうだった。







「…………すまねえ。今日あんな出来事があった後で聞く話じゃねえな。焦り過ぎた」








私の表情を見たせいか、リボーンが苦虫を噛み締めたような表情をする。








「ううん…………ごめんね。上手く頭の中が纏らないって言うか…………答えたいとは思ってるつもりなんだけど…………」


「いや…………いい」


「?」


「この返事はやっぱり明日聞く事にする。一晩よく考えて答えてくれ」


「…………ありがとう」








正直、今の状態ではまともなことを答えられそうにないと思っていた私にとって、この提案はありがたいことだった。
きっと一晩経てば、まともな返事が出来るはず。
そう私が言えば、リボーンは口の端を少し上げてそうか、と言ってくれた。そしてそのまま私に背を向け出て行こうとする。









「あ…………ちょっと待って!」


「?なんだ」


「あの…………明日、絶対に話せるようになっとくから」


「…………そうか」


「でもそれは…………私自身の事を聞いても、白蘭の事を倒す事には何も繋がらないと思うよ」


「…………なんでそう言い切れる」


「それは…………」








…………だって、そうでしょ?
私が何処から来たかなんて知ってもきっと、なんの役にも立たないもの。



私もバカなことをする。答え切れないなら、こんなこと言わなければよかったのに。

そう思いつつ、勝手に口が滑って言ってしまったからと勝手に自分を納得させた。
リボーンは複雑そうな表情だった。








「それと明日話す時、出来れば皆に話したいんだけど…………」


「それでお前は良いのか?」


「…………皆に言うべきだと思うから」








ちょっと言えるかわかんないけど。
自嘲気味に私は笑った。
もしかしたら肩が震えてるかもしれない。
話すことの緊張で呂律が回らないかもしれない。
逃げ出してしまうかもしれない。
泣いてしまうかもしれない。
でも、ここで言わなければきっと言う機会もないだろうし、自分から言い出すこともできないだろう。そう思った。








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