呪解。 8 亡国の王子 「陛下!」 燃え盛る城。 この城はすでに陥落した。 外からは民衆の声。 反王族派の攻撃で、この王都は落ちたのだ。 玉座に座る父王は諦めた表情で息子を見つめていた。 この広間も既に火の海と化していた。 「父上、母上…早く、早くここから逃げて下さい!」 「セシル。私たちはここで終わらせる。お前は早く逃げるんだ」 そう言って、王は手をセシルに向けた。 その手は光を発していた。 目を閉じるほど眩しくて、次に目を開けた時には、セシルは城ではなく、どこかの森の中だった。 この国の王族は昔から魔法が使えた。 王は息子であるセシルを城から逃がすため、最後の力で彼を飛ばしたのだ。 「父上…母上…」 さっきまでいた城とは違い、周りは静かな森だった。 一人ぼっちで、今、何をすればいいのかさえ考えることもできず、セシルはただ呆然と座り込んでいた。 そうして三日ほどたった頃、彼は一人の青年に声をかけられた。 [*前へ][次へ#] [戻る] |