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sound of falling snow(南雲)


なんだか最近随分と寒い気がする。12月も中盤を過ぎたんだからしょうがない気もするけど去年はこんなに寒かっただろうか、でもこんな都会に雪が降るわけでもなく明後日もホワイトクリスマスにはならないだろう。そう、寒い理由はここにもある。この人肌恋しいクリスマスといえど私には共に過ごすような相手などいないのである。好きな相手はいるけど想いを伝えることなんてできやしない。なるほど気持ちも寒くなるわけだ!!以上明日から冬休みを迎えるにあたっての注意についての間に私が考えていた事だ。


「指定された班は掃除して帰るように、掃除後日直は鍵を職員室に届けること」今日の日直は私である。でも別に嫌ではないしむしろ嬉しいくらいだ。何故ならもう一人の日直は南雲君だからだ。冬休み前最後に会えるなんてラッキー!とりあえず持ち場の掃除を終わらせようと教室を後にした。


走って教室へと向かう。緑川がバケツの水ぶちまけたおかげで掃除が延びてしまった。帰っちゃったかなと不安に思いながら教室のドアを開くと南雲君はぼんやりと教卓の椅子に座っていた。良かった帰ってない。
「やっと掃除終わったのか?」

「ごめんちょっと色々あって。」

「ん、そっか。俺鍵閉めるから日誌書いといて。」

「うん。」

かちゃりかちゃり次々鍵を閉めていく音とかしかしと日誌に書き付ける音、遠くから聞こえる声以外だけの静かな教室。私は変に緊張していたけど、南雲君と2人きりの空間が幸せだった。窓がもっとあればもっと一緒にいれるのに。

「みょうじってさぁ、誰か好きな奴いんの?」

「えっ」

近くで声がするなと思って右を見るとすぐとなりに南雲君がいた。色々と驚いて言葉に詰まっていると少し恐い顔で「いんの?」ともう一度聞かれた。

「な、南雲君は?」

恥ずかしくて日誌に視線を落とす。自分の答えが言えないからって聞き返した後に後悔した。聞かなきゃ良かった。いるって言われたら、私の恋は辛いものになる、終わってしまう。

「俺はいるよ。」

<遅刻・欠席>の欄を書き込む手が止まる。胸のあたりが苦しくてうまく息ができない。うつむいて唇を噛む。やっぱり聞かなきゃよかった。

「なぁみょうじは?」

今日遅刻した厚石君の名前がだんだんぼやけてくる。今声を出したら泣いてるのがバレてしまうから私は何も言えずに固まったまま。
そんな私を見かねて南雲君はふぅとため息をついて早口で喋った。

「いや別に言いたくないならいいんだけど俺はいないほうが嬉しいだって俺お前が好きだから」

驚いて顔を上げると南雲君は髪とおんなじぐらい紅くばつの悪そうな顔をしていた。顔を上げた拍子に零れてしまった涙をみて驚いた顔になったけど。

「な、なんで泣いてんだよ。」

「嬉しいからだよ」



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