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赤とピンクのあいだ(ギーマ)

*名前変換ありません
*夢主の手持ちが俺得でしかない






ポケモンを回復させにふらりと自室から出るとアデクさんの所から先程私を負かした少女が出てきた。夢遊病のような、熱に浮かされたような感じで歩いている。「ねぇキミ、アデクさんに」勝ったのかい?って続けようとした言葉を飲み込んだ。私に声をかけられこちらを振り向いた目が虚ろだったからだ。「ギーマさん、私ま、まままま負けちゃっ」壊れた機会みたいにどもって次の瞬間膝から崩れ落ち倒れた。慌てて駆け寄ると気を失っていた。顔色が真っ青だ。「負けたショックね、」四天王やチャンピオンに挑むっていうのはやっぱり普通のバトルとは違うから、こういう事は偶にある。とりあえずポケモンセンターに連れて行くか、と抱え上げた。当たり前だけどがっちりはしていない。こんなか弱い子でも四天王は倒せるしチャンピオンにも挑めるんだ。


「このポケモン達頼むよ」私のポケモンと彼女のポケモンも一応回復してもらう。「かしこまりました。でもそちらのトレーナーさんは…」いまだ気を失ったままの彼女を見てジョーイさんが困ったような顔をする。言われてみればポケモンリーグのポケモンセンターには別室がないし椅子もない。「…じゃぁ私の部屋に連れてくか」軽い機械音が回復終了を告げる。


再び彼女を抱き上げて部屋へと引き返す。自分が初めて負けたときどうだったっけな。おもいだそうとしたけど、遠く霞がかったようなことであまり思い出に残っていなかった。四天王という仕事柄バトルする機会は多い。それにより負ける回数だって増える。一々負けた時の感情を覚えてはいない。連れてきた彼女をソファーに下ろすと頬が涙に濡れていた。そっと拭ってやるが反応はない。きっとこの子はこの負けを絶対に忘れないだろうなと思った。「どうしたもんかな、」すると彼女に戻したボールが2、3度揺れ勝手に彼女のポケモン達が出てきた。戦闘中も思ったが彼女のポケモンはやたら大きいのが多い。どのポケモンも心配そうに彼女を見つめている。サザンドラのこんな顔は2度と見れないだろうなと思って見つめていたら右の頭に睨まれた。レパルダスが彼女に近づいて顔を舐める。「ん、うぅ…」小さく呻き声をあげて目が開かれた。半分目覚めないまま首を傾けて周りを見回すと「みんな、」と呟いた。二度三度と瞬きすれば涙がたまる。「ごめんね負けちゃって」再び涙が零れていた。でも彼女は涙を拭って「でもつよくなって、次は絶対勝とうね」と微笑んだ。それにポケモン達も安心したようでジャローダが頬ずりしていた。何とも微笑ましい光景だけど私は見事に空気だ。「みんなありがとうね」とポケモンをボールに戻したあとこちらへ向き直る。あ、気づいてたんだ。「ここ、ギーマさんの部屋ですよね。迷惑かけちゃってごめんなさい」ぺこりとお辞儀をしながら言った。「いいさ別に。負けたの、初めてだったんだろ?」そう訊ねると一度頷きにっこりと笑う。「でもこれが最初で最後ですから」それは四天王を撃破したか弱い少女の笑顔だった。







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