THANKS
L‐芹SIDE
なんか良く分かんないんだけど…気付いたら俺は大葉に手を引かれて走ってて。
「芹、大丈夫か!?」
「え、うん!えと…なにが…」
答えてる間にも人の波がダーッて押し寄せてきて離れそうになった手を大葉がギュッと繋ぎ直してくれた。
確かさっきまで…なんたらっていうコンテストの司会を大葉と一緒にしてた。
…ハズなのになんで?
「しかし何だってまた…この学校の男はこんなに飢えているんだ。」
大葉のぼやきに顔を上げると…さっきまで俺達のいたステージには黒い学ランの男の山。
どの人達もなぜか血走ってて…。
「コワ!」
「こいつらみんな女装した春日部とエントリーナンバー2番狙いだ。」
エントリーナンバー2番?
志信さんだっ!!
「そだよね!志信さんキレイだったもんね!ね?大葉っ??」
なんて…着物姿を思い出してウットリしながらそう聞く。
「とにかく裏に回ってその二人の荷物を回収してから行方を探そう!」
なのに前を走る大葉は俺の話に返事をしてくれない。
プーっと頬を膨らまして。
「ね、もう!聞いてるの?」
すると…俺の大事な恋人はホンの少しだけ後ろを振り返ってから。
「俺には…芹の方が可愛くてキレイに見える。」
なんて…
なんてっ!!
歯の浮くようなセリフを言われてついつい舞い上がっちゃって!
「おおばー!!大好きっ!!」
堪え切れず、モミクチャの人込みの中で大葉に向かって体当たりにも近いハグをした。
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