THANKS
F‐良介SIDE
予定を押してしまい、約束の時間をだいぶ過ぎてしまった。
『今、どの辺?』
耳元で聞こえる可愛い恋人の声に頬が緩む。
「今はたこ焼きの屋台を過ぎた所だ。」
『そこのたこ焼き、美味しかったよ!』
「そうか…良かったな?」
屋台群を走り抜けると左右に通路が現れた。
真っ直ぐ行けば校舎側…右に行けば屋台の列で左はイベントスペース。
「芹…十字路だ。どこに行けばいい?」
『んーとね、今体育館の方からそっちに向かって…』
『キミも出場するの?』
「…芹…?」
芹沢の声にかぶって知らない声が聞こえた。
『俺は違います!』
『キミなら可愛いから平気だよ!ね、おいで?』
『ちょっと!なにすんだよーっ!』
『俺、コンテストの司会だから…ちょっと付き合ってくれたら優勝させてあげるよ?』
『だから…違うってば!』
耳元での口論に…
プツン!
なにかのキレる音がした。
そして自然と足が早まる。
体育館は…こっちか!
携帯を耳に当てたままひたすら走っていると…!
『大葉ッ!』
目の前に…見知らぬ男に腕を掴まれてる可愛い芹沢の姿。
「野郎っ!」
叫ぶより先に…足が出ていた。
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