THANKS
‐Brother


楽しかったイベントが終わり今は最寄りの駅。

スキー場で偶然出会い、思いがけず仲良くなった依月くんと茱吏くんを見送る為にホームで電車を待ってる。

せっかく…仲良くなれたのに、もうサヨナラなんだな。

凄く、淋しい。

人気のないホームに駅員のアナウンスが響き、電車の到着を告げた。

「…送ってもらってすみませんでした。」

軽く頭を下げる茱吏くんに拓真が…

「たいした事してねぇよ。」

と言って右手を差し出した。

「またいつか、今度は俺と滑って?」

なんて…懲りずに言う。

依月くんに怒られるぞ!
心配をよそに何も起こらず…俺は、チラと依月くんの顔を見た。

面白くなさそうな顔してるけど…最初みたいな感じじゃない。

「そうですね。でも俺は負けませんよ。」

気の強そうな…いい顔の茱吏くんがそう言うと、拓真は嬉しそうな顔して。

「お手柔らかに。」

と笑った。

手を解いた茱吏くんが俺を見て、優しく笑い軽くハグして…

「…イイ声だったよ?」

…耳元で、そう言った。
…やっぱり…聞こえてたんだ。

顔が熱くなる。


そして…電車がホームに滑り込んで来た時。

伸ばした拓真の手が、依月くんの頭を撫で…髪を思い切りグシャグシャにかき乱した!

「うわっ!テメッ…!」

唖然とする俺と茱吏くんをよそに…

「おぅ、依月!もっと精進しろよ!」

楽しそうに笑う拓真の顔は、良介を構う時みたいな"兄貴"の顔してて。
なんか…ちょっと羨ましかった。

「次は負けねぇからな!」

「ばーか。俺さまに勝とうなんざ千年早いっつの!」

…昨日は"百万年"だったのにね。
茱吏くんと顔見合わして笑った。


そして…
二人を乗せた電車が滑り出し、見えなくなるまで手を振った。

イイ人達だったな。
またいつか…
どこかで会えるといいな…。
なんて想いにふけってたら…

「茱吏ちゃんに何て言われたの?」

耳元で言われる。
…そんなの恥ずかしくて言えるか!

「教えろよ!」

「うるさい!」

先に車に乗り込み、MDをかける。
…絶対言わないからな!


…結局、夜に散々攻められて…言わさせられた…。


‐END‐




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あきゅろす。
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