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取り残された俺と茱吏…と呼ばれた彼は、顔を見合わせて二人が見えなくなった方を見た。

「う…わ…」

そこは…
さっきまで俺が滑り降りてた所とは全く違う…断崖絶壁?
背筋に冷たい物が走った。

「…なんか…妙な事になったな。」

茱吏くんはそう言ってゴーグルを下ろした。

「…スミマセン…うちの連れ、ケンカっぱやくて…。」

苦笑い…するしかない。

「俺が後を追うからキミは先に…」

「俺も…連れてって下さい!」

微妙な顔して、茱吏くんが俺を見る。

「足手まといなのはわかってるけど…!」

「いいよ。」

―えっ!

「一緒に行こう。…えーっと…?」

「智之…です!連れは、拓真…」

「"彼"…だろ?」

フワッと笑った顔が凄く色っぽくて…なんか照れるな…。

「じゃあ行こ。智くん!」

…智くん?

急に呼ばれて戸惑いつつ…俺と茱吏くんは、飛び出してった鉄砲玉を探す為、白銀の世界へと滑り出した!


途中…
何度も転んで、その度に茱吏くんに助けてもらった。

そして…
やっとの思いで二人を見付けた時には、辺りは真っ白…吹雪になってた。

「テメーがケンカ売ってくんからだろが!」

「はぁぁ!?お前が…!」

そんな中なのに…まだ怒鳴りあってる。

「いい加減にしろっ!!」

…茱吏くんが…ブチ切れた。

「今の状態分かってんのか!?…俺達、遭難してんだぞ!そ・う・な・ん!」

その勢いに押され二人は、黙ってお互いの掴みあった襟首を放した。

「ごめん、茱吏!」

「…悪かったよ。」

「…分かればいいから。取りあえず…どっか避難するトコ探そ。」

クルリと背中を向けた茱吏くんに依月…くんが寄り添い、ゆっくり歩き出した。

そんな俺の横に拓真が並んで…珍しく神妙な顔して俺の肩を抱いた。

「…ごめんな…智。」

何に対してのゴメンなんだか…。

俺達は…黙ったまま二人の後に続いた。



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