THANKS
いち。
学校から帰ると、玄関に放置されていた小さな箱に目が行った。
「…拓兄?」
真っ赤な小さめの箱には、送り主にあの大葉拓真って書いてある。
拓兄はスキー場で知り合った以来、何回か遊んでもらって。今でもほんとの兄貴みたいに仲良くしてもらってる。
てか何だ?
オメンを今更送り返して来たのか?
やっぱりあればマズすぎたかも…
そう思って、小包を部屋に運んだ。
部屋に着くなりベッドに腰掛け、小包を開ける。
丁寧な文字で綴られたメモと、……ひも?
「何、これ。」
同梱されているメモには、縛っても痕が残らない紐だから、茱吏と使え…と書かれていた。
どうやら。このひもはそーゆうひもらしい。
拓兄さん、俺かなり未知な世界なんですけど…
イタイケな高校生がヤっちゃっていいのかよ。
ケータイを取り出して、そんなメールを送ってみる。茱吏と使えって、そら願ってもない事ですよ?
茱吏を縛るって…スゲー興奮すんじゃん。
しばらく紐を手で弄ぶ。
ほんとに痕が付かないのか気になったから。
左手を何とか結ぶと、拓兄からメールが来た。
『智はめちゃめちゃ感じてたから、茱吏ちゃんも多分ヤバイぞ?』と。
縛られる事が…そんなにいいのか。
もとより智ちゃんは感じやすそうだけどね。
俺は液晶を見ながら笑みを浮かべ、次に茱吏へと電波を飛ばした。
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