THANKS
B生駒SIDE


次の日。

部の集合場所の教室にはまだみんな来ていなくて。
居慣れてるハズなのに…教室の中がいつもより居心地悪く感じる。

―緊張し過ぎなんだな。

椅子に座りボンヤリと窓の外に視線を向けた。

…先生に会ったら…なんて言おう?

キス…して下さい?

そんな…
恥ずかしい!

勝手に想像して勝手に赤面して…。
僕は…一体なにをしてるんだか。

「生駒!」

突然呼ばれ体が飛び跳ねる。
聞き慣れた、低く通る声に振り返る…と。

「良かった…来てくれたんだな?」

入口からゆっくり近付いてくるのは渋谷先生で。

あぁ…
なんでだろう。
胸が…ドキドキする。

「…生駒?」

顔を覗き込まれて慌てて数歩下がる。
驚いた顔した渋谷先生が苦笑いをして僕を見つめて。

「…そんな警戒しないでくれ。普通にヘコむから。」

「…え!…あ、違うんですっ!」

「違う…って?」

今度はキョトンとする先生を見て…
あぁ…なんて説明すればいいんだ…!

「…ホントに…可愛いな生駒は。」

そう言って優しく笑って…伸ばされた腕に捕まってそのまま胸に抱き寄せられた。



「ぅ…わ!」

「んー…生駒。」

ドキドキする胸の鼓動が頭の中でこだまして…。
火でも出そうな程に顔が熱くなった。

「…生駒…?」

頭上から降る声に小さく返事だけして。

「顔…見せて?」

唇を噛み…ゆっくりと顔を上げると、息がかかる程すぐ側に優しく微笑む先生の顔があった。

「…好き…だ。」

なんの前触れもなくそう告げられ、呆然としてる唇に先生の柔らかな唇が重ねられて。

時が…止まった。

触れている所から先生の熱が注がれて…強く抱いてくれる腕の強さになぜだかホッとした。

そして…
どのくらい経ったのか。
重なっていた唇が静かに解けた。

「…せ…んせい?」

僕を見下ろす瞳にまた胸が高鳴る。

「生駒…マジで好き!」

ギュッと抱き締められて…一つ、気付いた。

僕は…
どうやら先生を好きになってしまったらしい。
こうして側にいるだけで…すごく…幸せな気持ちになる。

「せ…先生…」

言葉を続けようにも…
先生の顔を見たら二の句が継げなくなる。

「…なんだ?」

胸が…まるで乙女のようにキュンとして。

言葉の続きを言えない代わりに…僕は…ゆっくり瞳を閉じた。


‐END‐




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