THANKS
さん。


俺の隣で布団を被っていた依月。
顔を出したかと思えば、俺にすかさず触れてくる。

「…茱吏が、スゲー好き。何回でも言ってやるぜ?」


――言った分だけ、想いは深くなるだろ?


形のいい唇が紡いで、そっと俺に触れた。

「茱吏…」
「う…ん、っ…」
「茱吏…好きだ、好き…」

同じ事を何度も囁かれ、何度も息を奪われた。
貪られる感覚が飢餓に変わる前に…。

身体ごと依月に溺れてしまう前に…。

こんなに囁かれた後では抑えが効かなくなるのは目に見える。

だから俺は、手を延ばして依月を押し返した。

「や…だって、もう寝る…から…」
「いいじゃん。なんかイイ雰囲気だもん。今日記念日だし?」

拒む腕は虚しく空を斬る。さ迷う手を捕らえられ、触れられれば拒めない。
もう依月しか俺を鎮められなくなる。

「い…づっ…あ!」
「まだ乳弄っただけだぜ?お前やっぱりエロいな。」

醜態を曝してしまいたくない。

記念日だとか、記念日を大事にしている乙女っぷりバリバリな依月とか…そんな事よりも、そればかりを気にしてしまう。

だけど巧妙な依月はそんな事ももろともせず、尚も俺を求める。

「バカ依月…」
「茱吏バカね。」

目で犯され、舌に犯され…俺はまた狂喜する。
自分を欲のまま突き動かし、依月に与えられる感覚だけを追ってしまう。



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