THANKS
いち。


カサカサと、シーツが擦れる。
いつもなら目を覚まさない筈なのに、今日はどういうわけか目が覚めた。


「あ、悪い…起こした?」
「大丈夫…寝れるから。」

欠伸をして、背中を向ける。
今日何回シたっけ?
…あぁ、2回か。2回で眠気が来たなんて、俺も歳かな。


昨日コイツがいきなりうちに来て、明後日にある数学の小テストのヤマかけさせられてたはずだったんだけどなぁ…

結局はこんなもんだ。
俺も見たら欲しくなる…このオトコが。

俺の全てを掻っ攫ったこのオトコを、心の底から欲しくなる。


「あ。今日…」

いきなり布団がめくれて、冷えた外気に裸の肌が露出した。

寒いと喚いて怒ったが、流石B型。俺の訴えは聞こえていない。
立ち上がってカレンダーを見入り、何かを思案している後ろ姿。

引き締まった肢体が月明かりに反射して、浮かび上がるように目の前に映っていた。

この逞しい、均等に整った身体にいつも抱かれている事をまじまじと思い知る。


「今日…記念日だ。」

いきなり振り返ったかと思えば、急にそんな事を言い出す。


「ばーか。オンナじゃあるまいし。めんどくせ。」
「お前、その勢いで俺の誕生日忘れてたよな…」

まだ根に持ってやがる…

俺は身体を起こしてまた欠伸をした。

「半年!半年目だぞ!俺の最長記録だ!」
「そう言えば俺も…」


コイツに会うまで、心から好きだと思う奴に会えなかった。
気付いたら好きだったコイツが、こんなに俺の中でウエイトが大きい。
居心地もいい。だから知らない間に半年経っていたんだ。

特に、お前の腕の中はやたら居心地が良すぎて…

時々、自分達がオトコ同士だというのを忘れてしまう。



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