SCROMBLE 告白 授業が終わるチャイムと同時に、俺はそそくさと教室を抜け出した。 玄関で靴を履き替えると、校舎の影に身を潜め、手島が来るのを待った。 しばらくすると、手島らしき人物が現れた。 「よし、来たな。・・・ん?一人で出てきた?いつも取り巻きがいるのに・・・。まぁ好都合だ。」 女子が周りに居ないのを不思議に思いながらも、俺は手島に駆け寄った。 「おいっ!手島!!ちょっと、ツラぁ貸せや」 「良いけど」 喧嘩腰に言い放ったにも関わらず、案外あっさりと承諾された。 取り巻きも居ないし、てっきりこの後、用事でもあるんじゃないかと思ったが、そういう訳でも無いらしい。 俺は、手島を連れて校舎の裏にまわった。 「告白?」 手島が冗談目化して言った。 こういう洒落が一番困る。 いや、こいつだからこそ、洒落にならない。 「はぁ?何言ってんだお前ぇ・・・」 俺は飽きれたように答えた。 「だって、君、顔真っ赤だよ?」 思い掛けぬ指摘をされ、俺は目を丸くした。 いつの間にか、俺の顔は寒さで冷え、赤く染まっていたのだ。 「だぁ!お前を待ってたからだよ!オセーんだよお前!!」 俺は手島を怒鳴りつけた。 授業が終わってすぐに、外で待っていたというのに、一向に来ない手島を真冬の空の下でずっと待っていた俺は、真から冷え切っていた。 「・・・そんなになるまで待つ用って、何かな」 手島は眉を潜めて言った。 俺は本題を切り出すことにした。 「彼女作れよ!!」 「!?」 手島は目を見開いて、俺を凝視しした。 俺は構わず続けた。 「じゃねーと、俺に彼女ができねーだろ。このクソモテ男が!」 「?!」 俺が思いの丈をぶつけると、手島は驚いたような顔をした後、しばらく考え混んでいた。 かと思いきや…。 「・・・・・・プッ・・・・・・・・ククク・・・・・・・・・・アハハハハハッ!!」 しばらくすると、手島が急に大声で笑い出した。 こんな風に笑う手島を見るのは初めてだった。 俺は訳がわからず戸惑った。 「な、何が可笑しい!?」 「まさか、それを言うためだけに待ってたの?この寒空の下?・・・ククッ」 手島はまだ可笑しいのか、小刻みに震えながら笑いを堪えていた。 「悪ぃかよ!!」 「いや、ごめん。可愛いよ。」 「てっめぇ・・・馬鹿にしやがって・・・ッ」 自分がモテるからって、人を虚仮にしやがって、何て野郎だ。 ←→ [戻る] |