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SCROMBLE
モテる奴は敵だ!

 いつもの様にキャーキャーと甲高い声が教室に響いた。
不愉快極まりないその歓声の原因は、“手島 彰” 奴のせいだ。

 最近、海外から帰ってきたらしく、女子達が一斉に騒ぎ立てているのだ。
奴の存在がある限り、この歓声が鳴り止むことはないだろう。
 
 容姿端麗、帰国子女、おまけに髪の色が銀。(地毛だと言っているが、正直怪しい。)
モデルのスカウトも来ているくらいだし、金も稼ごうと思えば簡単だろう。
その上、性格は俺と違って大変よろしい。
つまり、奴は比の打ち所の無い、学園のスーパーなアイドルだってことだ。

 ちらりと、横目で手島の方を見やると、取り巻きの女子達に笑顔で答えていた。

「手島の奴、モテるからって良い気になりやがって・・・」

 俺は、自分の親指の爪を噛みながら呟いた。

 俺、“君屋 透”は、手島を妬んでいた。

その最大の理由は、奴が『特定の彼女を作らない』ことにある。
何故作らないかは知らないが、奴に彼女が居れば、いくらかこの環境もましになるはずだ。
 まさか、本当に自分をアイドルか何かと勘違いしてるんじゃなかろうか。
そう考えると、怒りが沸々と湧き上がってきた。

「調子に乗りやがって!」

 俺は、誰も居ない廊下で独り、壁を殴りつけて叫んだ。

 生憎、俺は、女子に『男』として見られたことが一度としてない。
自分でも原因はわかっている。容姿が女っぽいからだ。
そのせいか、友人としての付き合いは多いが、恋人にまでは発展しない。
性格は『漢』そのものであるというのに…。

「俺に彼女ができないのは全部アイツのせいだ!アイツさえいなければ俺にだって・・・!」

 明らかに逆恨みではある。しかし、実際に他の男子生徒達も、手島の人気にはほとほと参っているのだ。
男子からすれば、手島が女子を独占して良い気になっているようにしか見えない。

「許すまじ手島!!」

 俺の妬みは頂点に達し、本人に思いの丈をぶつけないと気がすまない所まできていた。

 俺は、早速放課後に手島を待ち伏せすることにした。



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