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SPECIAL!シリーズ
エピローグ
あの[J]から戻ってきて数日、私、柏木佐樹はすっかり元の生活に戻って・・・ひとつだけ違うかな?

能力が使えなくなって[J]で過ごした日々が嘘みたい。
学校の友達や近所の誰にも私が[J]で戦ったりしていたことなんて伝わってなくて。

そして勇火チームが相変わらず人気あるってことも相変わらず。

けれど、私の存在は謎のメンバーってことで片付いてることがすごいよね。

「佐樹ってば能力者のこと話しても怒らなくなったね。」
「うん。私ね、火事のとき能力者に助けてもらったの。意識あやふやだったから顔は思い出せないけどね〜。」

だって勇火隊長に会ったなんて言ったらなんていわれるかわからないもん。
そうそう、プレゼントの箱の中身だけど、返したはずの[J]の手帳が入ってたの。
私辞めたのに。
隊長ってば間違えたのね。
けど、これはこれで記念にもらっておいていいよね?

そして、さらに数ヶ月。

4月を迎えた私は、出席日数不足で二度目の二年生。
変な感じするけど、いまのクラスの子たちとはうまくやっていけてる。

「[J]の会長が勇火様に代わったんだよねっ!」
「じゃあ勇火隊長のチームどうなったの?」

あ、その話は気になるかも。

「ねえ、その話私も混ぜて。」
「佐樹ちゃん。いいよっ」

なんと、怜がああ、火築怜が隊長になって隊員は風花と炎莉なんだって。だからあと1人か2人ほどメンバー見つけなきゃならないってことよね。

・・・・・・あれ?

「今、炎莉って・・・?」
「勇火隊長の双子の弟なんだってっ相変わらず美形ぞろいでいいよねぇ〜」

ん?どういうこと?
もしかして風花みたいにレベルSで監視付き?
けどあれだけ騒ぎ起こしておいていいの?


そうそう、あと一つだけ以前と違うことがあるの。
それはね、ときどき燎と狗座君と弘一君が私の学校に来ることがあるんだよね。
高級車で来るからみんな驚いてる。
そうだ、今度燎に炎莉のこときいてみればいいよね。

放課後になれば私は帰る。
一応園芸部の部員なんだけど、人とはそこそこの付き合いだけでいいって思ってたからまともに活動なんてしてない。
けど・・・たまには参加してみるのも悪くないかな?
あ〜そういえば見たいドラマの録画忘れてたなぁ。
よし、今日は帰ろう。

下駄箱へと向かうと、生徒たちがざわついている。

もしかして、燎たち来てるの?

校門の方をみると、見覚えのある車。

あれぇ・・・?なんで?どうしているの!?

車から出てきたのは隊長服を身に着けた怜だった。
校舎の出入り口付近で呆然としている佐樹を見つけると、近寄ってくる。

生徒たちの黄色い声は聞こえてないかのようにまっすぐ向かってくる。

「な、なんで?あっもしかして勇火隊長が間違えて渡した手帳を返せってこと?」
「勇火兄さんはまちがってない。お前を迎えに来た。」
「えっっどうして!?それより注目されてるよっっ!」
「心配ない。学校側には自宅の火事の件で佐樹は協力してもらうから近いうちに迎えに行くことは知らせてある。」

怜は状況が飲み込めていない佐樹の右腕を掴むと、向きを変え、車へと戻っていく。

「その様子じゃあ手帳しっかり見てないな。」
「へ?」

ため息をひとつつき、呆れ顔を佐樹に向ける。

「いろいろあってすぐには迎えにいけなかったけど、お前はおれのチーム所属の特例隊員だ。」
「なっなんでっ!!」
「詳しい話は車の中でする。」

そうね。たしかにこんな人だかりの中じゃ、ねぇ。
もう関わることないって思ってたのに。
嘘みたい。

佐樹は車の助手席に座る。

「佐樹ちゃんっ会いたかったよ〜」
「ひさしぶりぃ〜」

後部座席には風花と炎莉が座っていて、手を振ってくる。

「そうよっどうして炎莉がいるのよっ」
「ん〜?つれないなぁ。」

炎莉はニヤニヤと笑いながら言い、その隣で風花が苦笑いをしている。
車を発進させた怜が、不機嫌そうに答える。

「それも話す。」
「本当は佐樹ちゃん抱きしめたいほど嬉しいくせに。怜隊長?」
「お仕置きするぞバカ。」

ニヤけながら言う炎莉に容赦なく言葉を放つ。

怜の説明によれば、炎莉ってば牢獄の脱走を何度も繰り返して、監視付きでも逃げ出して手に負えないってことで、能力が高い怜のチームに託されたみたい。

「おれから逃げようとすれば電流が流れるように施してある。」
「人権侵害だよねぇ?」
「炎莉が悪いのよぉ〜。」

そういえば、風花はもうレベルSからAになったんだっけ。

「炎莉も風花みたいに三年はレベルSなの?」
「基本的にはな。けどおれの考え次第で延びることもあるな。」
「怜隊長のドSぅ〜〜」

後方で呟く炎莉に、怜はドスをきかせた声で言い放つ。

「隊長の権限で電流ボタン押すぞ。」
「すんません。」

なんか炎莉って燎みたいね。

「そういえばどうして私が特例隊員なの?能力もう使えないんだよ?」
「だからだ。」
「へ?」

私みたいに能力が全く消えてしまったことって今までないみたい。
だから調査っていうの?
樹さんが調べる気満々で、週に一回は本部に行くことになったみたい。

「それに、なんといってもおれのチームは人手が足りないからな。協力してもらう。」
「そういうことなのよ。バイトだと思って気楽にしてていいわよ。イザってときは守るからね。」

バイトって風花、このレベル高いチームに能力なしでついてけるかしら?

「いざってときは炎莉を好きなだけ盾にするんだ。ちょっとじゃ壊れないいい盾だぞ。」
「つめたいな。僕さぁ怜隊長のお兄さんなんだから少しは優しくしようよ。あっそれとも愛しい佐樹ちゃんの前だからカッコつけてるなっこのヤロォ。ぎゃっっ!!」

突然短く悲鳴をあげて身悶えしだす炎莉。

「黙れバカ。」
「そ、そういう仕組みなのね。」

なんか、勇火隊長の顔で燎みたいな言動って調子狂うなぁ。
炎莉って実はこういう性格だったのね。
意外だわ。

「でもぉまた佐樹ちゃんと一緒にいられるなんて私嬉しいな。怜ってば佐樹ちゃんいなくなってから鬱々としてて困ったのよ。」
「風花っっ!!」

怜は慌てて叫ぶが風花も炎莉も後ろでニヤニヤしている。

「私もまた怜に会えて嬉しいよ。」
「えっっそ、そうか」

赤かった怜の表情が嬉しそうに変わっていく。

「燎たち皇丘の人たちには会えるのに、一緒に会ってた怜がいないって変な感じなのよね。」
「へ、へぇ〜・・・あいつら・・・・・」

そして、ガッカリとした表情になっていく。

その様子を見ながら、風花と炎莉はひそひそと話しだす。

「怜は前途多難だねぇ」
「弟ってポジションでみられてたから難しいわよぉ」
「やっぱり?」
「後ろ2人、何か?」
「「なんでもありませーんっ」」

炎莉がいるって聞いたときはちょっと不安覚えたけど大丈夫そうね。
そろそろ本部に着くわね。
またここに来るだなんて思ってなかったな。

「ね、綾菜ちゃんはもう大丈夫?事件の後ひきこもりになってるって言ってたじゃない。」
「大丈夫だ。」

怜は相変わらず寮生活だけど、学校の送り迎えだけは欠かさずしてるみたい。なるべく一緒にいる時間を作るようにしてるそうね。

私、きっかけはちょっと問題だったけど、[J]に来れて良かったって思ってるんだ。
能力者のことちゃんとわかること出来たもの。

それに・・・・・怜が最初に比べれば表情が柔らかくなったこと嬉しいんだよ?
あのとき私の命懸けたいって思えたの怜だからだよ。
今日だって学校であったとき、すごくすごくうれしかった。
・・・でもこれはもう少し黙っておこうかな。


そんなわけで、私の生活は再び忙しくなりそうな予感。
でも、楽しくなりそうじゃない?



・THE END・



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あきゅろす。
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