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SPECIAL!シリーズ
第8幕ー2
メインルームの自動ドアが閉まったとたん、誰かの携帯の音が鳴り響いた。
会長が携帯に出る。

「私だ、・・・・・・・わかった。これから向かう。」

携帯を切り勇火を見る。

「また警察の方に行かなければならない用事が出来てしまった。勇火、あとは任せてもいいか?」
「はい、大丈夫です。」
「すまないな。」

会長も出て行った。

「2人とも、今回のことはあまり気にしなくていいからね。」
「ですけどっみんなに迷惑かけて・・・私レベルSだから、前から隊長や怜には迷惑かけてばかりなのに・・・」
「そんなことないよ。僕も怜も風花のことそんなふうに思ってないよ。もちろん会長だってね。そう思ってるならとっくにここにはいさせないよ。」
「隊長・・・すみません・・・・・」

あら、なんか2人の世界?
私ってばお邪魔――?
・・・・・とっとにかく水浸しの床を拭くべきよね。

「佐樹ちゃん、怜と話していたことだけど」

話していたことって・・・・・
私の能力のことで{厄介}って言ってたこと?あんな言い方・・・・・

「気にするなと言える立場ではないけど、悪く思わないでほしい。って、言っても無理があるよね。けど、佐樹ちゃんにとって悪い方向に持っていかないように努力するから。今はそうとしか言えなくて・・・・・ごめん。」

勇火はめったに歪めない顔を歪めながらも穏やかに言う。

「隊長・・・・・なんて言っていいかわからないけど・・・信じても大丈夫?」
佐樹の問いかけに勇火は黙ってうなずく。

「じゃ、じゃあっっ信じてるからっっ」

なんか空気重くてやだなーー。

「とりあえずっ床拭こうよっ」
「まかせて。少し離れてね」

風花何するの?

「速乾燥!!」

おおーーっ便利!!一瞬で床の水溜りがなくなったーーーっっ
こういう使い方もあるのねーー。

ピーンポーン

インターホンが鳴り響く。

もしかして燎が戻ってきたのかな?

一番近くにいた風花が対応する。

「隊長・・・どうしましょう」

困った顔で勇火を見つめる風花。

「どうしたの?」
「水佐和(みずさわ)大臣が・・・・・怜のお父さんが来てます。」
「なんだって!!・・・・・・・わかった、通していいよ。」
「ですがっっ」
「僕が話をしよう・・・・・」

風花はおそるおそる自動ドアのロックを解除する。

いかにも偉そうなオーラを漂わせているグレーのスーツ姿の男が立っている。

あっ!この人テレビで見たことある!!
確か・・・能力者初の労働大臣だよねっ!?威圧感あるよーー。

「お久しぶりですね。お元気そうでなによりです。それで、突然どうされたのですか?
ご連絡下さればわざわざ来なくてもこちらから行きましたよ。」

隊長?イヤミっぽく聞こえるのは気のせいかな?いいの?

「若造がしらばっくれよって。怜を連れ戻しにきた。」

前言撤回。イヤミ遠慮なく言っちゃって下さい。

「実の親が息子を迎えに来て何か悪いかね。」
「そのことでしたら、僕はあなたと正式にお話し合いをして[J]で引き取ったのですよ?それに、怜本人が水佐和家に戻ることを強く拒否していることはご理解いただいてるはずですよね?」

引き取った?拒否?
そういえば・・・最初の頃、家族と縁を切りたくてここにいる人もいるって言ってたよね。


「くっくっくっ」

なんなのこのオッサンはーーーっっ
いきなり悪人笑いしだしたよーーーっっ

「話し合いだとぉ?賭けの間違いではないのかね?」
「方法はどうであっても、あなたは確かに了解されましたよ。」

隊長?何したの?

「お引き取りください」

勇火の力強い一言が響き渡る。
あれ、なんか暑くない?なんで私汗かいてるの?
ううん、私だけじゃない。風花も。
水佐和大臣が水のバリアで隊長との間遮ってる!?
じゃあ・・・隊長が・・・・・

「仕方がない。本気で君と争うなんてバカなことは避けたいからな。今日はあきらめておこう。」
「賢明なご判断ありがとうございます。」
「まだ命は惜しいからな。」

そう言い残してメインルームを去っていった。

二度とくるなーーーーーっっ
あ・・・暑くなくなった・・・・・

「2人とも立て続けに嫌な思いさせてしまってごめんね。」

勇火はさっきまで全身で怒りを表していたのが嘘のように笑顔を向けてきた。

「私、よくわからないけど、怜の過去と関係があるでしょ?あんな場面見ておいて何も教えてくれないなんてナシだからね。」

今度こそ教えてもらわなきゃ気が済まないんだから!

「そうだね・・・できれば本人の口から聞いたもらいたかったけど仕方がない。怜はね・・・・・・・実家の地下牢に小さい頃から閉じ込められてたんだよ。」

え・・・・・・なに・・・それ・・・・・。

「そんな・・・まってよっ怜って確か大卒なんだよね!?それじゃあおかしいよ!!」

そうじゃなくても子供を閉じ込めるなんて!!

「地下牢にはね、パソコンが一台だけ置かれててそれだけが怜と外の世界を繋ぐものだったんだ。それで勉強してたみたいだから。」
「じゃあっパソコンで助けを求めたり出来るじゃない!!」
「無理なんだよ。そういう助けの情報へのルートはアクセス出来ないようにされてたんだ。例え出来たとしても、水佐和家には手出しできないほど権力の大きい家だからね。」

そんなっっ!だけどっっ・・・あれ・・・?

「なんで隊長は怜のことわかったの?」
「[J]の情報網はすごいからね。」

そういえば私だってそれのおかげでここにいるんだっけ。

「それで、どうして閉じ込められてたの?」
「それは・・」

ピーンポーン

誰よっせっかく聞けるとこなのに!!

「ごめん。少し待ってて。」

まさか、また水佐和大臣じゃないよね?

「君?どうしたの!?」

どうかしたのかな?隊長があんなに慌てるなんて。

急いで開けられた自動ドアの向こうには他のチームの男が傷だらけで倒れていた。

「何があったんだ!」
「怜が・・カ、カフェテリアで・・・・暴れ・・・ミ・・・サ・・大臣が・・・」
「水佐和大臣と怜が鉢合わせてしまった!?」
「い、いえ・・・大臣が・・・・・来た事・・・と・・・広まり・・・・・怜の悪口を・・・・・言った奴が・・・・・」
「わかった!すぐに行く!!」
「悪ぃ遅れっってどわーーーーーっっ何があったんだ!!」

タイミング良く(?)燎が戻ってきて倒れている男に驚く。

「燎!この人を医務室に運んで!風花カフェテリアに!」
「はいっ!」
「私も行くっ」

勇火につづいて、風花、佐樹は廊下をダッシュしていった。
メインルームの前には傷だらけの者と、燎が残される。

「医務室って・・・行きたくねぇーー奴がいませんようにっいませんようにっ」

傷だらけの男を抱えてどんよりとした表情で燎は歩き出す。
めったに人嫌いでないはずの彼が何故こんなにも嫌がるかは別の機会に語られるとして、舞台はカフェテリアへとうつる。

「な・・・・・なに・・・これ・・・・・」

佐樹は目の前の様子に愕然とした。
それもそのはず。
いつもなら楽しそうに賑わっているはずの場所が怪我人で溢れかえっている。

もしかして・・・これ・・・全部怜が・・・・・

「やっちゃったわねーー一度キレると本当に止まらないのよーー」
「・・・・・・それ、風花が言う?」

まさか怜も高笑いしだすなんてことないよね?

ガターーーーーンッッ

テーブルを巻き込んで男がほうり投げられた。

「怜ッッ」

男が投げられた先には怜がいて、佐樹と同い年くらいの男を睨みつけながら締め上げている。

「怜ッッ止めるんだ!!」
隊長の叫び声も聞こえないの!?
やだ・・・・・どうしてこんなこと・・・・・っ

「私が風で!!」
「待って!一緒にいる人まで傷つけてしまう!!」

どうすればいいの?
このままだと本当にどうにかしちゃうよ!!

「ゆ・・・・・ゆるして・・・くれ・・・・・」

締め上げられながら男が声を絞り出す。

「許す・・・?あの人のこと悪く言う奴は絶対ゆるさねぇっっ」
「ほっ本音じゃないっっつい言い過ぎただけだっ!!」

悲痛な叫び声を上げる男を怜は冷たい目で見つめる。

「つい?それがどうしたっってめぇが言ったことに変わりないだろっっ!水剣!!!」

どうしようっっ
怜の腕に水が集まってきて剣になっちゃうーーーーーっっ!!

剣がしっかり形になったかならないかのとき、怜は剣を振り上げ何の迷いもなく男に向けて勢いよく降ろす!!

「だめぇぇぇぇぇぇぇぇっっっ!!」

何・・・・・?周りがスローモーションに見える・・・?
私の中で何かがはじける・・・・・・。

突然カフェテリアに飾られている観葉植物が凄い勢いで伸びだす。
そして、怜の両腕をしっかりと掴む。

「くっ・・・放せっっっ」

暴れる怜の手から男が逃げ出す。

よかった。
これで怜が誰かを傷付けなくてすむよね。

「邪魔っするなぁぁぁぁぁぁぁっっっっっ!!!」

ドンッッ

え?何??

気が付くと佐樹は床に叩きつけられていた。

やだな・・・どうしたんだろう?
体が重くて動かせない・・・・・・・

「「佐樹ちゃん!!!」」

隊長と風花の声・・・・・・・・・
私、どうなったの?

ようやく顔をあげた佐樹の目には怜に向かって行く勇火の背中が見えた。
そして、勇火の一言が響き渡る。

「抹焼白演(まっしょうはくえん)!!」

あ・・・怜が倒れた・・・・・。

声もなく崩れる怜を勇火は支える。

大人しくなった怜を見届けた佐樹の目に、怜によってバラバラにされてしまった観葉植物が写る。

ごめんね・・・こんな目に合わせて・・・・・・

「佐樹ちゃんっ動かない方がいいよっ」

静止させようと手を伸ばす風花を振り払う。
「佐樹・・・ちゃん・・・?」

起き上がることは出来ない為、床を這っていく。
観葉植物に触れる。

なんでかな・・・体が勝手に動く・・・・・。

植物に触れている佐樹の手が光だし、バラバラだった植物が繋がっていく。

良かった・・・・・直るよね・・・。

元通りになったことを確認したところで、佐樹は意識を手放した。


NEXT STAGE・・・・・。

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