SPECIAL!シリーズ
第3幕 案内
「じゃあ早速だけど、風花と怜は豆眞(ズマ)地区に向かってくれないかな?燎が2人を必要としてるんだ。」
「燎ぉ?」
(あ、怜がすご〜〜く嫌そうな顔!)
隊長は風花を手招きしてそっと言う。
「怜と燎の事頼んだからね。」
「まかせて下さい♪」
笑顔で答える風花。
(……もしかして仲悪いって事?)
不機嫌な表情の怜を風花は腕を掴み、廊下へと出て行った。
「さてと、今のところ僕は予定ないから[J]を案内しようか?」
(当分はここで生活するしかなさそうだし……)
「お願いしようかな。」
不本意な表情のまま承諾する佐樹。
メインルームから出て歩きだす。
(この施設って結構キレイね。廊下も広いし。)
「あの、怜と燎って人仲悪いの?」
「うん。だいぶね。燎は僕の従兄弟なんだ。元気で考えるより手が出ちゃうからそれが怜のカンに障るみたいだから。」
(なるほど〜。)
「僕から見れば2人とも似た者同士だけど」
(隊長って……もしかしてさりげなく毒舌?)
そういえば、と佐樹は風花という名前をどこかで聞いたことがある気がして考える。
(2年前くらいの事件で風祭一族の生き残りで同じ名前が………)
「あ・・・風祭一族?生き残りが・・・」
「そう、二年前の風花はしばらく手に負えなくてね。」
風祭一族っていろんな分野で社会に貢献してきた一族である。
しかし、それを快く思わない連中に殺されたと当時は話題になったのだ。
(風花……そんな事あったなんて………。
私って自分ばかり不幸みたいにして………)
「そうそう、これは注意だけど、怜にお父さんの事は禁句だよ。キレて手がつけられなくなるからね。」
(手がつけられなくなるって……怜って実はデンジャラスな奴?)
「怜のお父さんって……何があったの?」
「それは……複雑な家庭だから言えないな。」
(まぁ……別にいいけどね。私に関係ない事だし。)
「そうだ、佐樹ちゃんは能力に階級あることは知ってるかな?」
「何それ?」
(そんなの初めて聞いたけど?)
「階級の事はまだ国じゅうに浸透されたわけじゃないから知らないのは仕方ないよ。じゃあ説明するよ。」
説明によると………
力の強さによって6段階ある。
A・B・C・D・E・Fに分かれ、Aが最も力が強く、Fが一番力が弱いらしい。
隊長と怜はA級。
普通は1つのチームにA級が2人もいるなんてありえないけど、ワケありのようだ。
「風花は何級なの?」
「能力的には僕達と同じなんだ。ただ………………」
(何?言いにくそう?)
「彼女は……S級なんだ。」
「はぃ?」
(あれ?階級って6つなんだよね?)
「S級っていうのは、能力的にはA級と同等だけど《すご――く危険!要注意っ!!》て意味だよ。その……犯罪者の中で最も注目すべき階級なんだ。」
「ええっっ!?」
勇火の」言葉に驚かずにいられなかった。
(え――と……[J]って……一応警察なんだよね??)
事件によって全てを失った風花は何度も乱闘や窃盗を繰り返して[J]でもかなり手こずっていたらしい。
(手が負えなくてってそういうことなんだ。)
勇火達のチームによってようやく逮捕されたが、一族の不幸の事を考慮して監視のもと保護する事になった。
3年間事件を起こすことなく過ごせたらA級に昇格できるという条件付きで。
(S級の風花にデンジャラスでワケありな怜。
も……もしかしてこのチームって問題児の集まり!?)
「佐樹ちゃん?どうしたの?」
佐樹は意外な事実に足が止まっていた。
「いきなりショックな事聞かせてしまって悪かったね。」
「だっ大丈夫っっ」
(このチームって隊長が穏やかだから成り立ってるのね。きっと。)
「風花はもう事件前と変わらない穏やかな性格だから大丈夫だよ。」
(風花・・・そんなの言われなきゃ気づかなかったな・・・)
「とにかく、まずは自分の階級を知っておく必要があるね。」
〔能力測定室〕。
(私の階級ねぇ。ばれない様にちまちま使ってたから一番下なんじゃない?)
茶色の肘掛け付きのソファーに座る。
(あ、座り心地まあまあね。)
そのあと、頭にいくつか吸盤をつけられる。
時間はあまりかからなかった。ただ、少し体を軽い電流が走る。
結果―――E級。
(あれ?ちょっと意外。)
そのあとは資料室、図書室、カフェテリア、医務室、会議室、訓練棟、各能力者にあわせて作られたエリア……etc。
当然と言えば当然だが、様々な能力者をみかける。
ほとんどの者が軽く能力を使っているのがみえる。
(あんなに当たり前みたいに能力使うなんて・・・)
案内されていきながら、[J]は広大な敷地であることが判明してきた。
(街一つ分ありそうよね。)
迷子になってしまうだろうと思う佐樹であった。
NEXT STAGE・・・・・。
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