SPECIAL!シリーズ
第2幕 始まり。
ぼんやりと見えてきた白い天井――――
(ここ……どこ…?)
(そうだ……家………燃えちゃたのよね。)
泣き叫ぶ真理の顔、そんな真理を抱きしめているお母さん。
みんなで笑ったり、泣いたり、騒いだりした思い出がいっきに頭の中をよぎる。
(もう…………
そんな日は来ないの…………?)
「なんで……どうしてっいや――――っっっ!!」
「落ち着いてっ」
「返してっっみんなを返してよっ!火事なんか嘘でしょ!?」
佐樹は声を掛けてきた少女の両腕を掴み叫ぶ。
怒りとか悲しみとか、とにかく感情ぶつけずにいられない。
叫んでいるとドアが開けられて金髪の青年が慌てて入って来た。
「落ち着いてっ君は助かったんだよ!」
「私だけなんて!」
「それにっまだ家族が亡くなったと決まったわけじゃないんだっ」
(え?だって………)
「君は二日間眠ったままだったんだ。その間家の隅々まで探したけどご家族は見つからなかったよ。だから、何者かに移動させられたかもしれない。」
(それって………)
「えっと……家は火事で焼けた。で、私以外の家族はどこかに移動させられたかも。で……ここはどこ?」
私は改めて周りを見渡してある事に気付いてしまった。
(まさかまさかっっ)
「ここは《JUSTICE》だよ。」
(やっぱりぃぃ――!!)
「それって[J]!?じゃあ能力者のせいって事!?」
「それもそうだけど、僕はあの日君を迎えに行ったんだ。」
(迎えにって……能力の事隠してたのに!?)
青年の言葉に動揺が表情に現れてくる。
「君の能力は貴重なんだ。いつか必ず必要になってくるから。」
([J]だなんて……)
「多分[J]には入りたくないって顔だね。もし、君が望まないなら無理にいれるつもりはないよ。」
青年は言葉を切り、ため息をつく。
「ただ、犯人は君を狙って来るだろうね。だから犯人が捕まるまでここにいてくれないかな?」
青年の言う事は一理ある。
犯罪に巻き込まれた生存者がいる場合、たいてい後々再び襲われる事が多い。
(けどっっここに少しでもいるって事は私が能力者だってバラす様なものじゃない!!)
佐樹の頭に過去の苦い思い出が蘇る。
(やだ、また昔の事………)
「なによ……なんなのよっ!ただ能力を持ってるだけで怖がられたりっみんな離れていってっっ……もう引き返す事出来ないじゃない!!!」
「強引ですまない…」
([J]にいたことなんて情報の早い高校生には数時間でもバレちゃうじゃない!やだやだやだやだっっ!!)
申し訳なさそうな顔をしてる青年を睨みつける。
そのとき、ドアが開いた。
[J]の制服を着て、佐樹よりも年下らしい感じの少年が入って来た。
(なんで次から次から人が来るのよーーっ)
「隊長、お話しがあります。」
(あれ、私睨まれてる!?)
「あんた自分だけ不幸だと思ってるのか?」
「怜っっ!」
「いきなりなんて事言うのよ!」
(なんなのコイツ――!ムカつく――っっ!)
「話しなら他の部屋で聞くよ。じゃ、また来るからね。」
(良かった。2人とも出て行ったわね。)
「ここね、医務室なの。この部屋は寝室でドア開けた前の部屋に医務課の人がいるから用があったら呼んでね。私も行くね。」
少女は笑顔で手を振ると出て行った。
(あ、行っちゃった。1人になれたからいいけどね。)
[J]の情報網はすごいと知っていたが、ばれるとは思っていなかったから驚くばかりである。
(私の能力の事まで知られるなんて。)
数日後……
体調も良くなった佐樹はメインルームに連れてこられた。
白い壁に円形の大きな茶色のテーブルとイスがあるのに広さを感じさせる部屋。
(会議室って感じかな。)
壁には巨大スクリーンが付けられている。
佐樹を火事から助けてくれたのはこのチームの隊長。
ときどき看病しに来てくれてた少女もいる。
それから失礼な奴も。
(とにかく自己紹介ね。)
「柏木佐樹です。植物操れます。足引っ張ると思いますがよろしくお願いします(棒読み)。」
(だってっっ好きでここにいるわけじゃないんだから!)
「最初のうちは仕方ないよ。僕達がフォローするよ。」
(うわっ隊長が爽やかな笑顔でそんな事を!)
必要最低限の規則があり、
この本部以外では、基本的に2人以上で行動することになっている。
(片方がミスしてももう片方がフォローするってことかしら?)
「こちらも自己紹介するよ。僕は勇火。このチームの隊長です。わからない事があったらなんでも聞いてね。」
(……思い出した!勇火様って言われて学校で有名じゃない。)
ショートヘアーの金髪に優しそうな表情。そして頼もしさを感じさせる雰囲気。
騒がれるだけあって美形だと思う佐樹である。
(あぁでもそんな有名人のとこいるだなんてますます学校戻りにくいじゃないっっ)
「私は風花で〜す。攻撃専門なの。これでも結構能力強いの。よろしくね。」
「おれは怜。防御専門だ。よろしく。……この前は悪かったな。」
(風花って可愛く見えるのに攻撃専門なんだ。)
改めて風花をしっかりと見る。
ウェーブのかかった腰まである髪、穏やかな雰囲気はいかにも女の子らしく、守ってあげたくなると言っても過言ではないだろう。
(怜の方が……人は見掛けによらないのね。)
怜と名乗った少年はショートヘアーの艶のある黒髪に、意思の強さを表すかの様な切れ長の目。人を寄せ付けない雰囲気を醸し出している気がした。
「ちなみに名字は名乗らないからね。家族が人質になるのを防ぐ為に。調べたらわかるから一時凌ぎにしかからないかもしれないけどね。」
「それだけじゃない。家族と縁を切りたくている奴もいるんだ。」
え、家族と縁を切りたいって・・・・・・この子家出少年?
「あのね、家族にも怖がられたりする事もあるの。全員そうとは限らないけど。」
(家族で………?)
佐樹のように一般家庭に突然能力者として生まれた子は、
気味がわるいと敬遠されがちになることも珍しいことではないらしい。
(じゃあ……私は家族に恵まれてたってこと……?)
聞かされた事実に愕然としてしまう。
(いけないっみんなの事考えたらまた泣きそうになっちゃう。)
佐樹は早く家族を見つけて[J]を一刻も早く出て行くと胸に誓った。
NEXT STAGE・・・・・。
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