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SPECIAL!シリーズ
第1幕 別れと出会い
搭叶に住むようになってからも、私は能力者である事を隠し続けた。

差別されないって言ってもそんなの一部の話しなんだ。

それに……友達が言ってた一言は私の心にしっかり刻まれてるんだから……。

悪意がないって事は今ならわかる……つもりだけど………。

だって、未知のモノは怖いっていうのは仕方ないことだもんね。

「ねぇっ2組の本川さん水を操れるみたいよ――っ」
「マジ?怖くない?」

ほら。

そう言われてる一方で…………

「[J]が出動したのっ!?」
「うんっ勇火様のチームでしょ?かっこいいよねぇ〜〜♪」

[J]――正式名称はJUSTIS。
能力者だけで結成された民間の警察みたいなもの。
正義のヒーロー様らしいの。
能力者が悪いことした能力者を逮捕するの。

公共のおエライさん達がイマイチ認めてないからある財閥が個人的に組織作ってやってるらしいけど、ここまで浸透してれば公務員になるのも時間の問題よね。

でもさぁ・・・・・
同じ能力者なのにあの人達は人気あるなんて………。

「あのねっ勇火様って火を操れてっ凛々しくってかっこいいの!あとねっ同じチームの……」

ガタンッッ

私はわざと音を大きく立ててイスから立ち上がる。

「能力者なんて興味ないって言ってるじゃん?」

私は、友達に冷たく言い放つ。
こんな態度取るなんて良くないってことわかってるよ。
でも・・・・・・・

「ごめんっ佐樹が能力者嫌ってるって忘れてたっっ」
「別に嫌いじゃないけど。」
「機嫌悪いよ――」
「悪くないって。」

そういえば……その[J]ってこの搭叶名物みたいなものなのよね。

それだけ能力者の犯罪が増えてるって事なんだよね。



その日の夜、私は暑苦しさに目を開ける。

今は春。そんなに暑くないはずよね?

・・・・な・・・なんなの?

これって・・夢・・・・・・よね?そうだよねっっ?


目の前に広がる火の海。

「なんでよおぅ・・」

夢と信じて頬を思いっきりつねったけど痛い。

それから、麻里の、妹の泣き叫ぶ声。

お父さんは!?お母さんは!?

ドオォォォォォォォンッッ

音を立てて壁が倒れる。
その先には麻里を抱えたお母さんの姿。

「なっなんなの!?冗談だよねっ?手の込んだいたずらよね!?」

お母さんは何も言わずに首を横に振る。

「そうだっお父さんは!?お父さんなら何かわかってるよね!」
「お父さん・・・・・・もういないの・・・・・・」
「え・・・・・・・・・」

それって・・・・・・

うそ・・・・嘘でしょ・・・?


ミシミシッッ

柱が倒れる!!
能力でコントロールしなきゃ!

どうして!?
なんで体が動かないの!?
今動かなきゃ助からないじゃないっっ!!

体中が震えて能力が出ない!!

気がついたら火柱がゆっくり倒れて、私とお母さんたちの間を遮った。

え・・・・・なんで・・・?

ずっと聞こえていた麻里の声が突然聞こえなくなる。

なんでなんでなんで!?
やだ・・・・生きてる!??

わたし・・・・・・・・・・・一人だけ・・・・・。

ギイィィィィィ

上を見上げると、火柱が私に向かってきてるっっっ!!

もう・・・・・どうにもできないよ・・・・・・。
そうだよ。
みんな死んじゃったのに一人だけ生きてたってしょうがないじゃない・・・・・。

覚悟を決めて、火柱が倒れて来るのを待つ。


・・・・・・あれ?

そっと目を開けると男の人が目の前にいる。

だれ・・・?

呆然としている私を素早く抱えて外に飛び出した。

そうだ・・・この紺色の制服は確か[J]・・・・・。

「君っ大丈夫!?」

黄金の髪のその人は心配そうに顔を向ける。

私は、火の塊となってしまった家から目が離せなかった。

「君っっ!!」

男の人の声を聞きながら意識は闇の奥へと落ちていった。


NEXT STAGE・・・・・。


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あきゅろす。
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