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SPECIAL!シリーズ
第8幕 事件勃発パート2
任務に対する違和感が抜けないまま、勇火のチームと燎は勇火チームのメインルームにいる。

そうそう、あの後ね、売人とヤクザたちは到着した警察に連れて行かれたの。
で、[J]の応援は結局こなかったのよね。
だから私達は警察のお偉いさんのガッツリ絞られて・・・

やっと開放されたのは3時過ぎ。
とりあえず、ここに戻ってからはカフェテリアで食事を済ませてたの。
勿論私達チームと燎は午後の予定全部キャンセル。
あとは会長が来るのを待つだけ。

「あー学校初サボりだー皆勤目指してたのにぃー」
「別にてめぇが来なくてもよかったけど。これはおれ達チームの問題だから。そもそもどーして普通にここにいやがる。」
「現場見たのにいないわけにはいかないだろー?それにぃ風花ちゃんのピンチだし。」

風花よりも私の方がピンチだったけど?

「うざ・・・」

怜ってば本当に嫌みたいね。

「まあみんな無事だったから良いじゃない。」
「それ風花が言う?私本当に生命の危機感じたからっ」
「ごめんねっ」

そう、騒動から数分後に風花はしっかり目を覚ましたのよね。

「そういえば会長はまだ警察ですか?」
「うん。今回のことはだいぶ問題になってるからね。けど・・・行けと言ったのは父、じゃなくて会長なんだよね。」

勇火の言葉に佐樹も風花もうなずく。
だって本当なら麻薬がらみのことは能力者が関っていることだとしても警察と手を組んでやるのは当然だし。
だけど、それを私たちだけで片付けちゃ・・・ねぇ・・・。

「麻薬のこともそうだけど、今回の僕たちの任務だっておかしい」
「そういえばどんな任務ですか?」

風花が聞くと、勇火はため息をひとつついてから口を開いた。

「空港から奇特な美術品を運ぶ。それだけだよ」

「はぁ?」
「しかもたいした事じゃない。おれたちのレベルが行く必要ない程度のものだ。」

それってあからさまに罠ってこと・・・・・?

全員黙り込む。


「もしかして、今回の件で佐樹を始末しようとしたかもな。」

怜、さらりと恐ろしいこと言わなかった?

「考えてみれば佐樹の火事のことだって本当は抹殺しようとしたもので、手違いで助かってしまったから・・・」
「ちょっっちょっとまってよ!それじゃあ最初から家族を人質っていう仮説がおかしくなるよ!それにっそんなに酷い恨み売った覚えないよ!!」
「恨みの問題じゃない。問題はお前の未知なる能力だな。いざ火事を起こしてみたら隊長が来ていることに気付いて慌てて計画変更したとか。」

な、なにそれ・・・・・・

「私の未知なる能力って!?そんなにまずいものなの!?」
「まずいというか・・・厄介だ。まだ目覚めるかもわからない能力だけどな。」
「おいっさっきから聞いてればなんだよ!!佐樹ちゃん可哀想だろ!」

燎が怜を睨みつける。

「だいたいっその未知なる能力ってなんなんだよっっ!!」
「燎、それはね、トップシークレットなんだ。だから僕たちレベルA以外、もちろん本人にも内緒なんだ。できれば目覚めて欲しくない能力だからね。」
「なんだよっっ勇兄ぃまで!!」

燎はムッとした顔で勇火に怒鳴る。
勇火はすまなそうな顔をするものの話す気はなさそうだ。

「もしかして・・・世界崩壊っていうレベルってことなの?」
「うーん・・・直接的にそこまではいかないかな。多分・・・」

多分て・・・・・
自分のことなのに知らないなんてあんまりじゃない?

「もしかしてその能力ってヒーリングのことですか?植物を操れる高度な能力者は傷を癒したりとか出来るのですよね。」

ずっと黙っていた風花が口を開く。

「あのさ、それだったら佐樹よりも医務課狙った方が早いだろ。」
「うん、でも医務課っていつも[J]の中にいるでしょ?ここってバリケード結構堅いし。」
「とにかく風花が考えてるレベルじゃないから。」

あっさりと言われてムスッとした顔になる風花。


ピーンポーン

殺伐とした空気を壊すかのようにチャイムが鳴り響く。

勇火がインターホンに駆け寄る。

「はい」
「私だ」
自動ドアのロックが解除され、ブラウンのスーツ姿の中年の男性が入ってくる。

この人!!

全員しっかり立っておじぎをする。
佐樹も慌てて真似をする。

「君が佐樹君だね。直接会うのは初めてになるね。私はこの[J]の会長の榎炎(かえん)です。」
「はじめまして。」

全員席につく。
そして、勇火がさっきまで話題になっていたこと、今回の二つの任務のことを簡単に説明する。

「なるほど・・・勇火達の任務のこと、風花君達にスクリーンで急な指令をだした事、実は身に全く覚えがない。」

「なんだって!?」
「しかしっ隊長が電話だとしてもあなたの声を聞き違えるはずがありません!FAXの筆跡も確かにあなたのものです!!」
「スクリーンといっても確かに会長でした!!」

勇火、怜、風花はそれぞれ信じられないというふうに会長に言うが、言われた方も困った顔をするばかり。

「しかし、今回の件は佐樹君の抹殺が目的ではなく、[J]に汚名を着せることが目的の気がする。実際、無謀をしたという汚名を着せる結果になってしまったのだから。」
「すみません。」

風花は申し訳なさそうにあやまる。

「過ぎてしまったことを考えても仕方がない。それに、あのスクリーンは[J]の内部からでしか操作できないようになっている。」
「つまり・・・会長になりすました何者かが・・・・・裏切り者がいるということなのですか?」
勇火の言葉に、会長はうなづく。

「裏切り者・・・それって、情報収集しやすくて、幅広く動ける立場ですよね・・・」

呟くように風花が言う。

それって・・・・・たとえば隊長クラスの人ってこと?

「あぁーーーーーっっ!!誰だよっっんな面倒なことする奴っっ!!」

あ、燎がキレた。

「うるさい。そういうお前が裏切り者かもな。」
「どういう意味だっっっっ!!!!」

ガタンッッ!!

音を立てて勢いよく立ち上がり、怜を睨みつける。
そんな燎を座ったまま冷ややかに見上げる怜。

「さりげなくおれ達に近づけて情報収集しやすい立場にいるからな。上部への出入りだって火築家の血筋なら簡単だろ。」
「きっさっまぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁっっ!!」

ダンッ

机に燎は飛び乗り、怜の胸ぐらを勢いよく掴む!

「放せ」
「ふざけんなっなんで俺がんなことしなきゃならねぇんだ!!」
「自分に聞けよ」

怜は燎を睨みつけながらも水の短剣を生成し、燎に向かって振り下ろす!

いけないっ!

「怜っっ!!」

バッシャーーーーーン

あれ?2人とも水浸し?
ってことは怜の能力じゃないのよね。

「頭さめた?2人とも、熱くなりすぎだよ。」

そう笑顔で言う勇火の手には水滴が滴り落ちるバケツが。
水をかけられた2人は掴み合ったまま呆然と勇火を見つめる。

「まださめないならもう一杯いこうか?」

隊長・・・楽しそうね。
もし隊長が動かなかったらとんでもないことなってたよね。
けどさー風花も会長もわかってたなら私に声かけてもいいじゃない?自分達だけ部屋の隅に移動しているなんてずるいよーー。

「いえ、大丈夫です・・・」
「頭冷えたから・・・」

良かった。2人とも喧嘩やめてくれて。
ちょっとやりすぎな気もするけど・・・・・・。

「少し休憩しようか。」

勇火の一言で全員立ち上がる。

「30分後にここに集合しよう。」

全身水浸しとなった2人は何も言わずにメインルームを出て行く。

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